2020年12月10日
◆リピーター
今年も余すところ3週間となった。この時期にわれわれ凡夫の頭によぎるのは「去年の今頃は…」という回顧だ。それに続く定番のセリフは「1年たつのは早いね」となる。全国各地でこんな会話が飛び交っているのではないだろうか▼自分自身の昨年の今頃を振り返ってみた。令和2年が日蓮聖人の佐渡配流750年の節目にあたることから、佐渡への団体参拝を促すことを目的とした文章を書いていた。執筆に先だっては人生初の佐渡渡航。佐渡では僧侶だけでなく観光協会の人などにも島の魅力について語ってもらった。その中で特に印象に残っていることがある。佐渡には2度、3度と繰り返し訪れる旅人が多いということだ▼何事においても、リピーターが多いというのは、本物であり、魅力的であることの証明といえるだろう。布教もしかりだ。再びお寺に足を運んでもらってはじめて成功したといえる。お説教ならば「いい話だった」といわれるだけでなく、聞いた人に「またあのお坊さんの話を聞いてみたい」と思ってもらってなんぼだろう▼ひるがえって、1年前に書いた佐渡の文章は、読者に読み返してもらえるようなできだっただろうか。その結果を省みようとしなかったのではないか。1年を振り返る時期にそんなことを考えている。さてさて来年の今頃、今日のことを私はどう思い出すのだろうか。(十)