2020年10月10日
■来年こそ
涼やかな秋風を感じた先日、ふと思った。今夏は家のなかでの嫌われ者の昆虫(G)を見ることが少なかったのではないかと。周囲に問うと、多くの人が同意してくれた。猛暑が続きGには好ましい気候だったのになぜ? 科学的根拠などないが、何となくコロナウイルスの影響かと勘ぐりたくなってしまう▼この夏は各地で伝統的祭事が中止になった。気温こそ上がったが、人間の発する熱量が大幅に減少した「冷夏」だったといえはしまいか。人間の生活圏の中で生きる小さな虫がこれを感じ取ったと見るのは考え過ぎだろうか▼法華信徒の発する莫大な熱量を感じさせる池上本門寺のお会式。この催しも万灯練り供養の行列が中止となってしまった。毎年一晩に30万人ほどの人出で賑わうこの行事に、ソーシャルディスタンスをとれというのは無理な話だ。マスクをしながら纏を振り、掛け声が規制されては、それこそ気勢が上がらない。そう考えればやむをえない判断だが、この晴れ舞台のために纏の訓練に励んだ講中の無念を思うとやはりやるせない▼だがこの無念を来年の熱へと転化させるのが真の法華ではなかろうか。生きているこの世を明るく元気に。そう願った日蓮聖人の熱は太陽のように大きなものだった。その熱は日蓮聖人降誕の日に始まる。そして来年は以来800年の節目となる。その来年に信徒として発する熱を蓄える期間としたい。(十)