2020年9月1日号
鎌倉布教拠点建設案まとまる
日蓮宗が所有する神奈川県鎌倉市小町の日蓮聖人辻説法跡地の隣接地(以下=鎌倉布教拠点)を活用するための基本設計案が、6月26日に東京都大田区宗務院で開かれた鎌倉布教拠点建設検討委員会で承認され、本格的な建設に向け動き始めた。
鎌倉布教拠点(375・2㎡)は平成21年の第98臨時宗会で取得が決定された。しかし、23年に発生した未曾有の災害・東日本大震災への緊急対応などで、建設計画に待ったをかけざるを得なくなっていた。震災から7年を経た平成30年に中川法政宗務総長が、計画を再始動させるために同委員会を初開催。地元管区の楠山泰道神奈川県第2部宗務所長を委員長に検討を重ねてきた。建設されるのは、日蓮聖人像を奉安する六角堂と展示ホールで令和3年10月の落慶を目指す。完成後は、檀信徒・未信徒を問わず広く法華経や日蓮聖人の教えを伝える施設になる。鎌倉布教拠点は鎌倉駅から徒歩5分。
山梨県総本山身延山久遠寺で鎌倉布教拠点に建設される予定の六角堂に奉安される日蓮聖人像の鑿入式が、7月29日に持田日勇身延山総務を導師に営まれた。ご宝前には尊像の材木となる身延山の「楠」が安置され、出席した内野日総法主猊下・中川法政宗務総長らが同地に棲まう日蓮聖人の御霊へ祈りを込め鑿入の儀を行った。
同尊像は、身延山大学仏教学部の柳本伊左雄特任教授が手掛ける。日蓮聖人(1222―82)は年表によると建長6年(1254)33歳で鎌倉の辻に立たれ説法をされたといわれることから、立教開宗後の若き聖人の姿が刻まれる。高さは約1・8㍍となる予定で、尊像が六角堂に奉安されると、時を超えてあたかもそこに往時の聖人がいらっしゃることを感じられるようになる。
中川総長は、「鎌倉は聖人が命を賭して法華経の教えを説かれたため、御声が染み込んでいる地。完成した暁にはぜひ獅子吼される聖人に会いにきていただき、大きなエネルギーを感じることで困難な世の中を切り開く自らのエネルギーに変えてほしい」と願った。