オピニオン
2020年8月20日
畏れ敬う心
静かに音せぬ道場に 仏に花香奉り 心を鎮めて暫くも 読めば仏は見えたまふ(法文歌)
先日、信徒から美しい大輪の白花をお供えいただきました。ほどなく堂内一面に芳香が漂い、身心ともに清浄となりました。
日蓮宗新聞聖語カレンダーには「蘭室の友に交わり麻畝の性と成る」(『立正安国論』)と。高貴な蘭の花のような有徳の友と接して自らの心までも真直に清らかな性となると喩されています。
いま、悪疫感染の世界的流行をみるにつけ、私たちはこの美しい自然や聖性に感謝し、奢りや慢心を捨て、素直に畏敬の念を持って接しなくてはならないのかと感じます。
美しい花を献じ、香を焚き、経を誦す。そんな日々のささやかな祈りの中にこそ、この身は安全にして禅定となるのです。
日蓮聖人は悲惨な鎌倉の世にあっても、怯むことなく信念を抱いて法華経を弘められ、人を崇めることを勧められました。
(兵庫県北部布教師会長・吉川陽久)