オピニオン
2020年6月1日
伝える
今から10年以上昔の話しです。うちのお寺では朝のお勤めを6時に始めます。読経の後、唱題は長太鼓を叩いてお唱えいたします。終わると8時、長男は学校へ出かけたところです。
ある時、学校で会合があり、先生に「息子さん太鼓を叩くのが上手ですね。お家でお父さんが教えていらっしゃるんですか」と尋ねられました。そういえば檀家さんから同じことを言われたことがありました。私が毎朝叩く太鼓を息子は聞いていたんですね。自然と耳で聞き覚えていたんです。
お寺の行事の時など、檀家さんから息子に「太鼓叩いて」と言われると照れくさそうに、それでも間違わずに叩いておりました。またそれを見ていた次男も兄に負けたくないと思ったのか、小さいながらも一生懸命叩きます。またそれが皆さんの笑いを誘い、本人も嬉しそうにしています。誰が教えたわけではないのですが、そう思うと伝えることとは自分を律することと心新たにします。
(大阪豊能布教師会長・渋谷泰雅)