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2020年5月18日

岡山 古文書から明治のコレラ禍学ぶ

岡山200518①hp【岡山】岡山市北区妙勝寺の檀信徒たちによる寺内サークル「古文書くらぶ」のメンバーたちが、地元に遺された史料を基に明治時代に県内で流行したコレラ禍の実態を解き明かした。
岡山市北区青江に位置する青江公会堂は、明治時代初期に戸長役場(現在の町村役場の前身にあたるもの)が設けられており、戦災を逃れた公文書が残存していた。その中の史料「岡山県布達」「官省広布布達」には、明治12年に日本中で猛威を振るったコレラの岡山県の様相が克明に記されている。安井正文さんをはじめとする「古文書くらぶ」のメンバーたちは、それらの史料を紐解き当時の実情を明らかにした。
全国で患者数16万2637名、死亡者数10万5786名を数えた明治12年のコレラは、明治時代に何度か繰り返したコレラ大流行の中でも最大規模のものであり、岡山県では9084名が発病し、4949名の方が亡くなった。「岡山県布達」には、県内で最初に患者の発生が確認された5月28日以後、数日おきに各地域におけるコレラ患者の発生数・死亡者数が記録されている。
県内で最も被害が多かったのは上道郡(現在の岡山市東部)の患者1074名・死者373名。妙勝寺を含む岡山区は患者905名、死者253名。青江公会堂がある御野郡(岡山市南部)は患者834名、死者232名を数えた。同年5月に始まったコレラの流行も8月上旬に感染のピークを迎え、8月下旬頃から患者数は減り始めて11月には終息した。
コレラの特効薬が無かった当時は、隔離と予防が対処法であったようで、明治12年6月27日に出された「虎列刺(コレラ)病予防仮規則」では届け出や隔離・予防について「虎列刺病患者は必ず室を異にし、看護人のほか家人たりも妄りにこれに近づくべからず。且つその家族は患者治癒あるいは死亡の後、十分の消毒法を行い検疫委員の許可を得るにあらざれば他人と交通するを許さず」と通達している。
そのほか史料には日常予防の心得や簡単な生水濾過装置の作り方の絵や避病院(伝染病患者の隔離収容を目的とする伝染病専門病院)の図などもあり、当時の生活の様子がうかがえる。
「岡山県布達」の報告書にある患者数・死亡者数を拾い上げ、エクセルを使って網羅的な一覧表を作成した安井さんは、「明治12年という時代に、数日おきに患者数・死亡者数を丁寧に記録して、各戸長役場に届けていた当時の行政の仕組みに驚きました。日本では当時からきちんとしたシステムが成り立っていたのだと思います」と説明する。
藤田玄祐住職は「現在も新型コロナウィルス感染症という新たな疫病により、多くの感染者や死亡者が出ており、社会が正常に機能しない状態が続いているが、今回古文書くらぶの皆さんが発掘した明治12年の岡山県のコレラ禍の史料を見るにつけ、日本人がこうした疫病を乗り越えてきた過去の姿に勇気づけられる気がします」と語った。

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