2020年5月10日
◆心の垢
外出を控え、ほとんどの時間を家で過ごしているにもかかわらず、足袋底がすぐ汚れる。もしかして、畳や廊下が汚れているのかも? 固く絞った雑巾で拭き掃除をしてみたら、やはりひどい汚れ。何かがこぼれているわけでもなく、目立った汚れなどもないのだけれど、微細な埃は静かに積もっていた▼そういえば、子どもの頃は毎朝、長い箒で掃除をし、畳拭きも頑張っていたっけ。「掃除を通して自分をよく見つめることが、心の塵垢の掃除になる。大切な修行だよ」と教えてくれた父。慢心やワガママな欲望は、積み重なると心の垢となって、見えるはずの真実を見えなくしてしまう▼お釈迦さまは、物事をありのままに正しく見ること、そして、偏らない正しい考え方が大事であるとおっしゃったが、心コロコロというように、私たちの心は移ろいやすく、どうしても自分本位になりがちだ。ましてや、たくさんの情報や刺激があふれる世の中で、自分の都合や感情・欲望に依らないものの見方や考え方で正しく行動することは、とても難しい。けれども、一人ひとりがその努力を諦めてはならないと思う▼畳の塵や埃にも気づけないほど、いつのまにか私の眼を曇らせていた心の垢。日々、掃除してもまた埃が積もるように、心の垢も常に掃除が大切。それができるのは自分自身だけ。いつもキレイな心、澄んだ眼で、明るい日々を送りたいと思う。(花)