日蓮宗新聞

2020年4月10日号

東日本大震災から9年

変わらぬ悲しみのお題目響く

◆コロナの影響のなか祈り
 東日本大震災から9年となった3月11日、被災地各地では静かに鎮魂の祈りが捧げられた。新型コロナウイルスの影響で自治体の追悼行事が縮小や中止になるなど、これまでとは異なる1日となった。檀信徒の犠牲があった寺院も慰霊法要の開催に苦慮したという。

◆大槌町蓮乗寺「お寺に来られなくても家で唱題すれば伝わる」
 164人の檀信徒が犠牲となった岩手県大槌町蓮乗寺では、これまで通りに慰霊法要を営んだが、木藤養顕住職は、「たとえお寺に来られなくても、家で手を合わせてお題目を唱えれば気持ちは伝わる」と事前に檀信徒に伝えてきた。毎年、満堂となるこの日の法要だが、今年は檀信徒の参列は約30人にとどまった。また例年、墓参が後を絶たない同寺の墓地も人影が少なかった。
 震災当時まだ生後3ヵ月だった双生子を連れて墓参に訪れた若い父親は、法名碑に刻まれた自分の母親と祖母を指して「これがお前らのばあちゃん、こっちがひいおばあちゃん」と2人に伝えていた。「子どもの誕生を喜んでいた母と祖母の笑顔が忘れられません。この子たちの成長を見せに毎年この日に墓参りに来ます」と話し、3人は長い時間を墓前で過ごしていた。また、震災で両親を亡くした30代の3姉弟は「仲良くこの日に墓参りをすること。もうこれしか親孝行ができないから」と話した。
 法要に参列した人、お堂の外で手を合わせた人、墓参に訪れた人、家の仏壇の前で震災発生の時間を迎えた人。それぞれに思いがあったことは確かだ。あれから9年、被災地の人にとって今もこの日は特別な1日となっている。

◆釜石仙寿院が祈りのパークで竹灯籠ともす
 釜石市仙寿院と同市は慰霊竹灯籠供養を午後5時半から「釜石祈りのパーク」で開催し、同寺檀信徒や一般市民らが祈りを捧げた。
 この灯籠供養は3年前に同寺の境内でカップとLEDライトを使って行った灯明供養に始まり、「檀信徒だけではなく一般の人も参列しやすいように」と、同パーク完成後に会場を変更して営まれるようになった。竹灯籠は同寺の世話人の川崎喜八さん(81)が庭や所有する山林にある竹を伐り、たった1人ですべての竹灯籠を用意した。
 震災犠牲者の名を記した芳名板を掲示した慰霊碑前に、市内の犠牲者と関連死した人の数を合わせ1165基の竹灯籠が「忘れない」の文字に並べられ、点灯された。読経に続き「忘れない」の前に用意された焼香台で順次焼香が行われた。「忘れない」という言葉は、開催にあたり同寺の檀信徒が協議して決めたもので、「犠牲になった人を忘れない」とともに「生き残った者はあの災害で得た教訓を忘れない」という思いが込められている。

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