オピニオン

2020年3月10日

結実活動期を迎えた立正安国・お題目結縁運動

■ローマ教皇の来日
38年ぶりに来日したローマ教皇は、昨年11月末に3泊4日の日程で風の如く来て、風の如く去っていった。しかし来日中に巻き起こした旋風は大きなものであった。
長崎では爆心地公園に立って平和を祈り、「核兵器に関するメッセージ」を発表し、広島では平和公園で、「平和のためのつどい」を実施し、「平和へのメッセージ」を発表した。
その中で教皇は、「世界では何百万という子どもや家族が、人間以下の生活をしいられている中で、武器の製造や商いに財が費やされていることは、これは途方もないテロ行為である」と言っている。
さらに広島では、「一瞬の閃光と炎によって消された亡き人びとのすさまじい叫び声が聞こえてくる」と言い、その声に合わせて、「戦争はもういらない! 兵器の轟音はもういらない! こんな苦しみはもういらない!」と祈ったとある。
東京ドームでの大規模な祈りの会には、5万人の人びとが参加したと報道された。
教皇の日本での一貫した主張は、核兵器をなくして平和な世界を実現するために、世界中の人びとが参加することを呼びかけていることであった。
日本が率先して世界に訴えていかなければならない核兵器廃絶に、日本はもっと真剣にならなければならない。
■NPT再検討会議
ローマ教皇の言動に何かを感じた人は多かったのではないか。国連に提出する「核廃絶」の署名運動にたくさんの人びとが参加してくれている。
今年の4月に国連では、5年ごとに開かれる「NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議」が開催される。
2017年に採択された「核兵器禁止条約」の後を受けて、「核兵器廃絶」への道筋をつけていかなければならない会議である。
しかしこのたび米国では、「小型核」を装備した潜水艦を配備したと発表している。さらに核関連予算を大幅に増額したとも伝えられている。世界の軍拡競争が起きることが何よりも心配である。
立正平和の会では、今度のNPT再検討会議に、宗務総長の親書と「核兵器のない平和な社会を目ざす」署名を国連事務総長に提出し、ニューヨーク平和行進に参加するために準備をすすめている。この署名運動に積極的に参加していこう。
■立正安国・お題目結縁運動
『立正安国論』は有名な言葉から始まる。
「旅客来たりて嘆いて曰く。近年より近日に至るまで、天変、地夭、飢饉、疫癘、遍く天下に満ち、広く地上に迸る」とある。
鎌倉にあって、天災地変、疫病などの災厄を目の当たりにした日蓮聖人は『安国論御勘由来』に、「正嘉元年八月二十三日戌亥の時、前代に超えたる大地震、同二年八月一日大風。同三年大飢饉、正元元年大疫病。同二年四季に亘って大疫已まず。万民既に大半に超えて死を招き了んぬ」とある。
日蓮聖人の出世の本懐は、私たちの生きるこの娑婆世界を浄仏国土と化することにある。つまり立正世界平和・立正安国である。いま聖人ご在世の時と同じく天変地変が相続き、疫病が蔓延している。さらに今は絶対悪の核兵器が存在している。その中で私たちは日蓮聖人と同じく、法華経のご本仏の絶対平和のみ心に生きていくことが要請されているのではないか。
立正安国・お題目結縁運動の結実活動期を迎えて、お題目を声を惜しまず唱えていこう。
(論説委員・刀貞如)

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