2020年2月1日号
古式則る「延年の舞」復活
山梨県総本山身延山久遠寺で、年初の日蓮聖人ご命日(月命日)に新年の賀を申し上げる御年頭会が1月13日に開かれた。法要では導師を務められた内野日総法主猊下が、参列した中川法政宗務総長をはじめ、全国からの僧侶檀信徒約400人とともに、日蓮聖人の忍難慈勝(難を忍び慈悲すぐれる)のご高徳を偲ばれるとともに、妙法弘布を誓われた。
さらには令和として初めてとなるお年頭会法要で、「延年の舞」が献納された。これは大檀越で身延山を寄進した波木井実長公が、日蓮聖人のために新年の宴で雅楽を奏したところ、弟子らが舞踊で応えたという故事による。身延山では「延年の舞」の伝承があったが、明治期に絶えていた。今回、東京谷中の橘雅友会の舞楽「陵王」に合わせて、陵王面をつけた下宮弘聖師(東京都延命院内)が躍動感ある走舞を献納した。大役を務めた下宮師は「毎日練習してきた舞を無事に捧げることができた」とほっとした表情を見せながらも「機会があれば、再度お祖師さまに見ていただくために、さらに高みを目指したい」と意欲を見せた。
続いて身延山大学講堂で、祝賀会が開かれた。御盃の儀では、内野猊下と中川総長、日蓮聖人の高弟6師を代表する六老門跡寺院貫首や代表が、宗門や久遠寺などの発展、内野猊下をはじめ僧侶檀信徒の身体健全を祈りながら、盃を干した。内野猊下は新年のご挨拶で日蓮聖人ご遺文『重須殿女房御返事』から「正月の一日は日のはじめ~これをもてなす人は~徳もまさり人にも愛せられ候なり」を繙かれ、「人生においてとりくまなければならない目標があっても、後にまわしていけば、日々のできごとに振り回されるだけで、結局何もできないことになってしまいます。途中であっても、節目には自分を見つめ直し、整理していくことが大事です」とご教示された。また昨年に久遠寺で共栄部を立ち上げられたことに触れられ、「共に生き共に栄える時代に向けて〝堅固の心を発し〟まずは身近な人を笑顔にしましょう」とひときわ力強く述べられた。