ひとくち説法
2020年1月20日号
郷土の言葉から
比較的、方言の少ない地域に育ちましたが、郷土ならではの豊かな言葉を耳にする機会はあります。先日、友人と話していたら「おれ、〝ずくなし〟だからさぁ…」と久々に聞くフレーズ。「ずくなし」とか「ずくがない」というのは、「根気がない」や「意気地がない」といった意味の郷土の言葉です。調べてみましたら、お隣りの県でも使われる方言のようです。
諸説ありますが、お釈迦さまは涅槃に入られる前、「すべてのものごとはうつりゆく。怠らず努力せよ」と語られたと伝えられます。「諸行無常」の教えとともにお弟子たちを叱咤激励されました。とかく人間は弱い方向へ流されやすいものです。仏教=法華経、日蓮聖人の言葉は万人に開かれた教え。強い心を持つ者はさらにそれを磨き、弱い心の者には怠らぬよう励ますものとなります。南無妙法蓮華経のお題目で、私もみなさんとともに「ずくなし」の心を鍛えたいと思います。
(新潟県西部布教師会長・池浦英晃)
2020年1月10日号
「あたりまえ」が有り難い
朝、目が覚める。あたりまえでも、当然でもない。ありがたい。本年は、日蓮聖人佐渡流罪から750年。日蓮聖人は龍の口の虎口を脱して一路佐渡へ。言語を絶する死の道中。荒れ狂う冬の日本海を眼前にした寺泊。正に板子一枚下は地獄。極寒の「荒ら屋」三昧堂。「いのちと申すものは三千世界の財にも過ぎて候也」。お祖師さまの目覚めは法華経の世界と一如呼応した、上行菩薩湧現再誕の目覚めであった。究極の艱難をして「日本第一の富める者」と言わしめ、敵地は浄土となり、敵は「変化の人」となった。結句、赦免離島の折には阿仏房夫妻をはじめとする信徒らとの別れを惜しみ「後ろ髪を引かれる思い」とまでその心境を吐露されるに至っている。なんたる摩訶不思議。法華経色読の行者南無本化上行日蓮大菩薩。受け難き人身を受け、百千万劫にも遭遇い難き上行菩薩直伝の南無妙法蓮華経に遭遇いたてまつる。ただの偶然、あたりまえなどでは決してないのである。
(新潟県東部布教師会長・眞島文雄)
2020年1月1日号
この時代に目指す事
令和になり初めてのお正月となりました。
平成結びの年は、明治維新150周年でありました。明治維新の後、時代の目標は富国強兵でありました。強兵は多大な犠牲を残し今はなく、富国も一応は達成されたといえる時代となりました。生活は比べ物にならないほど豊かになり、先人の苦労を考えた時、その艱難辛苦に厚く感謝し、合掌せずにはいられません。
そしてこの令和は、時代に何を目指すのでしょうか?
今こそ日蓮聖人のみ教えの1つ、但行礼拝が必要な時代であります。
お題目の正しい信仰を持ち、人が人を尊敬しあって生きていける世界、それは素晴らしい仏さまの世界であり、本当の豊かな世界ではないでしょうか。
この新年、私も皆さまと心新たにお題目をお唱えし、その世界を共に目指してまいりたいと思います。
(三重県布教師会長・鷲阪仁昭)