2020年1月17日
山梨4 阪神淡路大震災市民追悼式
【山梨4】阪神淡路大震災から25年を迎える令和2年1月17日。震災の発生当初から現地で支援を続けるNPO法人災害危機管理システムアース(山梨県甲府市立本寺住職、石原顕正理事長)は、神戸勤労会館で最後の市民追悼式を行った。
会場では、導師を務める石原師と13人の日蓮宗僧侶により、声明と筑前琵琶による追悼音楽法要が厳修された。毎年開催してきたその追悼式はこれまでに、のべ300人を超える僧侶が参加し、犠牲者の冥福を祈るとともに、全国の被災者支援の受け皿にもなってきた。例年多くの遺族、市民の皆様が参列され、仲間同士互いの健康を気づかう姿や、再会を喜びあう機会となっていたという。
震災の翌年、最初に仮設住宅で行われた慰霊会は、ささやかな小さな祭壇を設け、黒板に亡くなった仲間の名前を書き、人数分の茶碗に飯を盛り、蝋燭を灯した前で、石原師1人が読経をした。
それから25年。現地の遺族や被災者による、実行委員会のメンバーも高齢化が進み、亡くなったり、施設に入る方も増えた。
石原師は「被災地の人々との信頼関係を大切にして、自分たちのできる事をするのが支援の在り方。」と、神戸の人と一緒に開催することに意義があるとして25年目を節目として市民追悼式を終了することを決めた。
また「神戸での支援を通じ、生き続けることの意味を共に考え、心の在り方を問い直した。被災者1人1人の中に人間の尊厳を見出すことが、最も重要な課題だった」と話す。神戸で学んだ教訓は、三宅島噴火、新潟中越地震、東日本大震災、熊本地震など多くの支援活動にも活かされている。
思い返してみても全ての原点は神戸だと語る。「どんな現場でも、人と人の絆が大切だと教わりました。そして、震災の爪痕は、いくら年月を重ねても、被災者の心に、今も大きく残っている。その心に、日蓮宗の僧侶としてだけでなく、一人の人間として寄り添い、この震災の教訓を、次世代にしっかりと繋いでいくことが大切だと思う。」と、想いを話してくれた。