オピニオン

2020年1月10日

「あたりまえ」が有り難い

 朝、目が覚める。あたりまえでも、当然でもない。ありがたい。本年は、日蓮聖人佐渡流罪から750年。日蓮聖人は龍の口の虎口を脱して一路佐渡へ。言語を絶する死の道中。荒れ狂う冬の日本海を眼前にした寺泊。正に板子一枚下は地獄。極寒の「荒ら屋」三昧堂。「いのちと申すものは三千世界の財にも過ぎて候也」。お祖師さまの目覚めは法華経の世界と一如呼応した、上行菩薩湧現再誕の目覚めであった。究極の艱難をして「日本第一の富める者」と言わしめ、敵地は浄土となり、敵は「変化の人」となった。結句、赦免離島の折には阿仏房夫妻をはじめとする信徒らとの別れを惜しみ「後ろ髪を引かれる思い」とまでその心境を吐露されるに至っている。なんたる摩訶不思議。法華経色読の行者南無本化上行日蓮大菩薩。受け難き人身を受け、百千万劫にも遭遇い難き上行菩薩直伝の南無妙法蓮華経に遭遇いたてまつる。ただの偶然、あたりまえなどでは決してないのである。
(新潟県東部布教師会長・眞島文雄)

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