ひとくち説法
2019年12月20日号
本質は真心にあり
「お線香は何本立てれば良い?」「お焼香は何回するのが正しい?」と尋ねられることがあります。私は「お香は仏さまやご先祖さまに良い香りを捧げるためのものだから、数に拘ることはないのですよ」とお答えします。
法事などのときには「慣れない正座をしていると足が痛くなって『早くお経が終わらないかな』と思ってしまいます。それでは座って意味がありませんから、足は楽にして供養する心構えを持って臨んでください」と申し上げることにしています。
何事においても形を整えるのは大切なことですが、形に拘って本質を見失ったら意味がありません。私たちの生活や信仰でも同じことです。形よりも心が大切です。人間の本質とは真心、すなわち仏の心です。私たち1人ひとりの心の内に仏さまが宿っています。口に心にお題目を唱え、仏の心で日々の生活を送りたいものです。
(愛知県三河布教師会長・石橋宗昇)
2019年12月10日号
心の成長
私たちは毎日何が起こるかを予想しながら生きています。これは少しでも安全で快適な生活を送る上で不可欠なことです。しかし結果ばかりに囚われて一喜一憂しているだけでは心は成長しません。さまざまな出来事には必ず成長するための課題が込められています。それを克服するには事実と向き合い、受け容れるほかありません。日蓮聖人は「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経とうち唱え居させ給え」とお示しです。すべての出来事は自分自身の成長に必要なことであり、無駄なことは1つもなかったと気付き、仏さまに身を委ねてお題目をお唱えできた時、心の不安は消え大きな安らぎに包まれます。それが受け容れられた証です。現在に至るまでの出来事すべてを必要なことだったと思えば、即ち自分自身を受け容れたことになります。都合の良いことも悪いことも、受け容れられた分だけ私たちは成長するのです。
(愛知県尾張布教師会長・伊藤友秀)
2019年12月1日号
仏さまはすぐそばに
中学生の女の子 。難しい顔してタブレットパソコンをもって、ゲームでもしているのかな? 実は学習ソフトで勉強中だって。学校の連絡も宿題もメールで送信。先生も問題行動があればメールで教えてくれるし、学習相談にものってくれる。ペーパーレスで無駄がなく、早くて便利だとお母さん。別のお宅へ行きました。玄関を入ると楽しそうな笑い声。小学4年生の女の子とお祖母さん。卓袱台には鉛筆2本とナイフ。孫娘さんは入学以来、帰宅すると仏間のお祖母さんのところで、お母さんの帰りを待ちます。お祖母さんは学校での話を聞きながら、鉛筆を削ってくれます。高学年になってシャープペンシルを使うようになり、4本だった鉛筆が今では2本。お祖母さんは相槌を打ってゆっくり話を聞いてくれます。
お釈迦さまは「近しと雖もしかも見ざらしむ」 (自我偈)。あなたを見て、話に耳を傾け、喜んだり、悲しんだり。近くに仏さまはおいでなのに気づかないものです。
(愛知県名古屋市布教師会長・塩田宝裕)