2019年11月1日号
台風19号・広範囲で寺院檀信徒宅に被害
10月12日に伊豆半島に上陸した台風19号の影響で日蓮宗寺院教会結社や檀信徒宅に被害が出た。栃木県宇都宮市の妙正寺・妙金寺・法華寺、栃木市の妙唱寺、及び檀信徒宅は近隣河川の氾濫で床上・床下浸水。山梨県富士川町妙善寺では、山門が倒壊した。また台風の影響で発生した竜巻により、千葉県市原市行光寺の本堂側面のガラス戸が割れ堂内仏具が散乱したほか、檀信徒宅も被害を受けた。台風が通過した管区全域で墓地への浸水、倒木、瓦や銅板屋根の破損などがあったが、本堂など礼拝施設の全半壊の情報は入っていない。(10月16日現在)
市原市行光寺の本堂は正面と左右が全面ガラス戸となっており、15号の暴風時にも破損した。修復を終えたばかりのところに19号の影響で発生した竜巻により、本堂側面となる北側のガラス戸が破られるとそのまま仏具を巻き上げ、通り道となる南側のガラス戸をも突き破った。19号通過前でさらなる被害を防ぐため、散乱した仏具を片付け、ガラス戸は開放したという。
寺庭婦人の出口直美さんは「外を見るといろいろなものが竜巻に吹き上げられていた。風の音が大きく、本堂に被害があったことにその時は気づかなかった。直したばかりのガラス戸が破られたため、対策として全面ガラス戸を壁に変更することも考えている」と語る。また当日の夜は檀信徒らが10人ほど同寺に避難したという。
15号で本堂屋根が吹き飛ばされる被害を受けた同市圓頓寺では、屋根にかけられたブルーシートが風で剥がされたが、倒壊するなどのさらなる大きな被害はなかった。取材に訪れた10月16日にはちょうど本堂復旧への総代会議が開かれているところだった。総代の1人の木口佳弘さんは「我々にとって歴史ある本堂を守るために頑張ってくれた住職、檀徒がいた。今回が被災後、初の会議なので力を合わせて復旧に取り組んでいきたい」と前を向いた。
日蓮宗では9月の台風15号と今回の19号の被災寺院の助力とするため、義援金勧募を開始している。12月24日まで受付。