2019年11月1日号
「岡山の日蓮法華」始まる
岡山県立博物館で特別展「岡山の日蓮法華」が10月11日から始まった。ご真蹟の曼荼羅本尊2点とご遺文『神国王御書』『盂蘭盆御書』2点を含む日蓮宗や他法華系教団の寺宝計110点が公開される貴重な機会として注目され、多くの来館者で賑わっている。ご真蹟の曼荼羅本尊の1つで経一丸(後の日像上人)に授与された「玄旨伝法本尊」は、格護する京都大本山妙顯寺の蔵を出るのは初ではないかという。
初日には開会式が営まれ、挨拶に立った衆議院議員の逢沢一郎氏は、自身が岡山県妙林寺の檀徒で日蓮宗檀信徒の国会議員からなる法華一乗会で法華経を勉強していることを紹介し、「日本人と仏教、宗教と人間の関係に深く思いをいたす内容。たいへんうれしく思っている」と述べた。また中尾堯立正大学名誉教授は、「東国で撒かれた法華文化の種が京都の町で花を咲かせ、三備地区の土壌の上に木の実を落として、新たなる芽吹を果たした。この地方の文化は海の道を通して、朝鮮半島・中国大陸・東南アジアへの道も開かれていたはず。法華の信仰の営みに思いをいたしてほしい」と語った。
今展開催について同館統括学芸員の中田利枝子さんは、「県立という公平な立場だからこそ、宗派を超えた法華の寺宝を一堂に会することができた。そのなかでの展示は、教団の勢力を伸ばすために岡山と京都が緊密にやり取りしたことで、同時に文化も伝えられてきたことや、教団が三備地区の拠点を押さえ、どのように展開したかもわかるようになっている。郷土としての岡山、また地方としての岡山を知ることができる」と自信を見せた。11月10日(日)まで開催。【展示内容】日蓮聖人ご真蹟『神国王御書』『盂蘭盆御書』(共に重文)・「曼荼羅本尊」『蜀錦の本尊』『玄旨伝法本尊』、『日像伝授状 妙実上人宛』『花鳥図屏風』『釈迦如来坐像』など重文13点。全110点。