ひとくち説法
2019年10月20日号
伝え残す大事なこと
檀家のAさんが、相談があるといって子息を伴い来寺。Aさんは奥さまに先立たれて1人暮らし。信仰心があり、よくお墓参りをしていた。「あとどの位生きられるか心配で、今後のことを息子に伝えておきたい」とのこと。そこで「信仰について」、「檀家について」の説明をした。2人は安心した様子が帰られた。時が過ぎてAさんは亡くなり、無事葬儀を終えた。後日、子息が家族とお寺に来て「父は安らかに旅立ちました。あの時、父と相談に行ってよかったです。父に感謝して、手を合わせに行きます」と語った。日蓮聖人は「さればまず臨終のことを習うて」と示された。人生最後の時をどのように迎えるか、それはにはどう生きることが大事であるかを説かれた。私たちは仏さまに守られ、いろいろなものに支えられて生きている。そのことに感謝し、手を合わせお題目を唱えていくこと(信仰)が大切であると。Aさんもそのことを伝えたかったのでしょう。
(静岡県中部布教師会長・今井真孝)
2019年10月10日号
目標
我々の目標は成仏することであり、仏に成るという目標に近づくためには、「仏の十徳」といわれる行いを心がけ、徳を積まなければなりません。十徳のなかには、「いつでもどこでも苦悩する人のところにやってきて、苦を除き平安と幸福をあたえること」「人びとから尊敬と感謝に値する行いを実践していること」「すべての物事を正しく知り、見極めて人びとを悟りに導く智慧をそなえていること」「煩悩の闇をなくし、人びとの心を明るくすること」などがあります。
お釈迦さまの教えを体得された日蓮聖人は、成仏への方法をご遺文に説かれております。「釈尊の因行・果徳の二法は妙法蓮華経の五字に具足す。我等この五字を受持すれば自然に彼の因果の功徳を譲り与えたもう」(『観心本尊抄』)と絶対の信をささげ、南無妙法蓮華経とお題目をお唱えすることによって功徳をいただき、仏に成ることができます。お題目修行に励みましょう。
(静岡県東部布教師会長・今村海昭)
2019年10月1日号
願って生まれてきた私たち
胎内記憶の第一人者、池川クリニック院長・池川明氏の講演を聴く機会があった。お母さんのお腹の中の記憶「胎内記憶」、生まれた時の記憶「誕生記憶」。お母さんのお腹に宿る前の記憶まで話す子どもがいるという。興味深いのはお腹に宿る前の記憶で、空の世界で魂として次に生まれる時を待っていて、自分でお母さんを選んで生まれてくる、そしてその近くに神のような存在がいると証言する子どもがいることだ。これを聴いた時、法華経の法師品第十の願生を説くお経が心に響いた。「私たちは全ての者を哀れみ、助けるために願ってこの世界に生まれてきた」という一節である。そしてお経文は教えてくれる。この人たちが未来において仏さまと同じ境地(成仏)になる人たちであり、その行いをすることが菩薩行であり、仏さまと同じ境地になる振る舞いであると。私たちは菩薩行をするために願って生まれてきたという自覚を持つべきである。
(山梨県第4部布教師会長・八須一成)