オピニオン
2019年10月20日
伝え残す大事なこと
檀家のAさんが、相談があるといって子息を伴い来寺。Aさんは奥さまに先立たれて1人暮らし。信仰心があり、よくお墓参りをしていた。「あとどの位生きられるか心配で、今後のことを息子に伝えておきたい」とのこと。そこで「信仰について」、「檀家について」の説明をした。2人は安心した様子が帰られた。時が過ぎてAさんは亡くなり、無事葬儀を終えた。後日、子息が家族とお寺に来て「父は安らかに旅立ちました。あの時、父と相談に行ってよかったです。父に感謝して、手を合わせに行きます」と語った。日蓮聖人は「さればまず臨終のことを習うて」と示された。人生最後の時をどのように迎えるか、それはにはどう生きることが大事であるかを説かれた。私たちは仏さまに守られ、いろいろなものに支えられて生きている。そのことに感謝し、手を合わせお題目を唱えていくこと(信仰)が大切であると。Aさんもそのことを伝えたかったのでしょう。
(静岡県中部布教師会長・今井真孝)