2019年9月20日
価値基準
51年前に始めた修養道場「海辺のつどい」。当初は54人の定員をオーバー。参加できない子もいたほど。それが自慢でもあった。ところが今年は東京2人、県内4人、町内2人のたったの8人に。参加者が1桁になったのは初めてだ▼一般社会では、車を何台売ったか、スイカやお米がどれだけ穫れたか、そしていくら儲かったかが成功失敗の基準だ。だから顧客の求める品を安く提供しようと、自動化や大量生産化を計ってきた。それが便利な現代という時代を作った市場原理という価値基準だ。その思考から生まれたのが、安くて何でも揃っている100円ショップや量販店商法だろう▼問題はこの価値基準が経済以外のあらゆる分野の評価基準となっていることだ。たしかに数値目標は大事だ。しかしオリンピックの成否を金メダルの数で評価したり、東大というだけで人間を評価するというのはいかがなものか。スポーツや教育、まして人間の価値までも経済の価値基準で評価する現代社会に疑問を感じる▼日蓮宗では「敬いの心で安穏な社会づくり、人づくり」という運動を行っている。この中の「人づくり」とは「仏づくり」のこと。「仏づくり」とは1人ひとりに合わせて服をつくるオーダーメード。だから大量生産はできない▼輝いて帰る8人の後ろ姿に、少人数でなくてはできない「人づくり・仏づくり」の手ごたえを感じた。(義)