オピニオン
2019年9月10日
損得でなく尊徳で
4つのリンゴを3人で分けるとしたらどうしたらいいでしょうか? 1人1つずつ分けて、最後の1つは3等分に切るのでしょうか。最後の1つをめぐって奪い合いますか? それとも誰かが遠慮しますか? こんな素敵な答えもあります。「1人1つずつもらって、もう1つは仏さまにお供えすることにしよう」。
私たちは、ついつい損得勘定で計算してしまいますが、「尊徳」でモノを見ると随分違って世の中が見えてきます。買い物に行けば、少しでも安いモノを買えば得した気になります。しかし、見方を変えれば「もっと安くもっと安く」は「相手からどれだけ奪えるか」ということでもあります。
仏さまの教えは、与え愛です。目の前にいる人に何かをプレゼントしよう、喜ばせようという心構えの人の心はあたたかです。与えるとは、別々に見える命が本来はひとつであるということの体現です。
(山梨県第2部布教師会長・功刀貞行)