2019年9月8日
山梨3 第1回朝粥会
【山梨3】9月8日、南アルプス市荊沢、法泉寺(米木義晧住職)を会場に布教師会(柏原啓修会長)主催、寺庭婦人会(五味なおみ会長)共催、宗務所(岡本正富所長)後援の『令和元年度・第1回 朝粥会』が開催された。
この朝粥会は飽食の時代にあって、命の尊厳を見直し、食の原点に還ろうという目的で毎年9月から11月までの間、管内寺院を会場に毎月1回行われている。
今年度1回目の開催となった今回、同寺には組寺院の檀信徒を中心に、僧俗合わせて50名の参加者が集まった。
会は恒例の「たちばな和讃会」(秋山京子会長)会員15名出仕による法華和讃奉詠で幕を開け、米木住職を導師に約20分の朝勤を行った。
朝勤後、米木住職は挨拶の中で、「台風が近づいています。伊勢湾台風が昭和34年、私が生まれる1年前に山梨県では甚大な被害を受け、裏にある河川が氾濫し、この辺の土地は水浸しの状態になっていた。そういうこともあり法泉寺の本堂の下には今も1艘だけ船が残っております。子供の頃はよく友達と乗って遊んでいましたが、今この船を見ると大変な被害を出していたその時代のことを思い、災害に対して備えるということの大切さを考える。当山も何かしら災害があった時には、避難所としての支度はしてある。緊急避難をした際に1番必要なものは衣食住。平成4年から続いているこの朝粥会もそういうことを考えると大切である。お粥は味気無いという既成概念があるが毎年この朝粥会で頂くお粥はとても美味しい。普段食べる機会が少ないのもわかるが、この味気のないお粥が美味しいと思えること、食べれるだけでも幸せなんだという思いを忘れずに感じながら頂いて欲しいと思う」と早朝より集まっていただいた参加者への感謝と思いを述べた。
続いて布教師会会員の松井智伸師(常泰寺住職)の法話が行われ、同師は法話の中で「安かったからつい沢山買いすぎた、余らせて腐ってしまったから捨てればいい、たまには外食にでも行きましょうと言って、前々から興味があった店に行き、食べたら美味しくなかったと言って残して帰ってしまうということもあるわけですが、飽食の時代であって食べ物への感謝の気持ちが薄れ、いつでも食べれる。沢山食べる。残しても咎められない。そんな時代で命の源は何か?生きていくために一番大事なのはやはり食物である。食物への感謝だけではなく目には見えていないが生産者、料理を作ってくれている方への感謝沢山の方々が自分の命を支えくれている柱であるわけで、その方々への恩も忘れずに、この後の食法を心よりお唱えいただきたい」と願いを込めて法話を閉じた。
法話終了後には、参加者たちと本堂に長机を用意し、心から食法を唱え、寺庭婦人の皆様に、早朝より準備していただいた朝粥を頂くと、身も心も温まる想いに浸り、今年最初の朝粥会を無事円成した。