2019年7月10日
宗教回生時代へ向けての立正安国・お題目結縁運動
佐渡霊跡参拝
5月の末に、日持上人顕彰会主催の佐渡霊跡参拝旅行に参加した。ウィークデーであったためか、静寂なたたずまいの中でのご霊跡の各山をゆっくりと参拝させていただくことができた。
極寒の地で2年半の間、過酷な日々を過ごされながら、『開目抄』『観心本尊抄』という日蓮聖人教学の根本義の書を著された気魄に触れられたような思いで、感激の参拝であった。
来年の令和2年は、聖人佐渡流罪七五〇年になり、その翌年は降誕八百年になる。これらの記念の年を迎えるに当たって、佐渡霊跡を参拝できて、本当にありがたかった。
日蓮聖人は『開目抄』の中に「日蓮といいし者は、去年九月十二日子丑の時に頸はねられぬ。此れは魂魄佐土の国にいたりて返る年の二月雪中にしるす」と、書かれている。
思えば、開・本両抄は聖人の本化上行菩薩ご再誕としての魂の叫びであったのだ。その中で聖人以前の大論師、大人師が示されなかった三大秘法を発表されて、末法の人類社会救済の大法をお示しになられた。
本門の教主釈尊・ご本仏を閻浮第一の御本尊とされ、立正安国・立正世界平和の仏国土顕現を目ざして、南無妙法蓮華経のお題目を唱えることであるとされた。
いのちのみ親への開目
折しも佐渡霊跡参拝の頃、引きこもり者による殺傷事件が起きた。それをきっかけに、「ひきこもり者」の問題が社会問題として取り上げられてきている。
ひここもりは、青少年や若い人たちのことだと思っていたが、今や40歳から64歳までのひきこもり者が多くなり、その数は全国で60万を超えるといわれている。
その中高年のひきこもり者の面倒を見ているのは高齢の親で「8050問題」として深刻さを増しているといわれる。
私たち人類は、いのちのみ親ご本仏さまに、「世のため人のため立正安国のためになって、天命を全うし、幸せに生きています」といって、尊いいのちをいただいてきたことを忘れてはならない。
いろいろの方面の人たちが、このひきこもりの社会問題に取り組んでいると聞く。
私たちお題目を唱える者も、このひきこもりの人びとが、ご本仏さまとの約束に魂を目覚めさせるお手伝いをさせていただこうではないか。それにはそういう人たちの魂にお題目の光を当ててもらうことだ。立正安国のお題目は、人類覚醒のお題目であるからだ。
立正安国・お題目結縁運動
今は宗教なき時代といわれ、あるいは宗教離れの時代、宗教衰退の時代ともいわれている。大いなるものご本仏さまに生かされているという宗教心が欠如しているように思えてならない。いろいろな社会問題が発生してきているのは、この大いなるものご本仏さまに目を開けという警鐘ではないだろうか。
私たちの生きているこの娑婆世界は、物質界だけではない。精神界を含めて、三千世間という係わりの中で営まれている世間である。それに私たちのいのちは、ご先祖さまとのつながりの中で、戦争犠牲者や原爆犠牲者、テロや天災地変の犠牲者たち、また多くの人びととのつながりの中で生かされているいのちである。
立正安国・お題目結縁運動はこの三千大千世界に目を開いて共に生き共に栄えていく一大宗教運動である。
日蓮聖人降誕八百年は、人類救済のお題目を広めるために、この世にお生まれになられた聖人の本願を顕現する時だと思う。
宗教衰退時代を宗教回生時代へと転回させていこう。
(論説委員・●刀貞如)