ひとくち説法
2019年5月20日号
龍口法難七五〇年に
令和2年9月12日、日蓮聖人四大法難の1つ、龍口法難750年のご正当聖日をお迎えします。西方極楽浄土への往生を願い、幕府をあげて念仏信仰が盛んであった鎌倉時代。日蓮聖人は「この世こそ浄土にすべき!」という信念のもと、み仏の使いとしてお題目布教に邁進されました。ところが幕府の反感を買い、当時の処刑場「龍ノ口」へ。奇跡的にも一命を取り留めたその場所には、本山龍口寺が建っています。
去る4月7日、「消難龍ノ口」をキャッチフレーズに、第5回龍口テラスが開催され、「唱題行体験」・「法話とヨガの会」・「消難お札写経」など、さまざまなコンテンツに多くの人が訪れました。宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」も結実期間となりました。結縁とは下種結縁。あらゆる機会を通して、仏になる種を植え、成仏という花を咲かせ、大きな実を結ばせていきたいものです。
(神奈川県2部布教師会長・瀧川真弘)
2019年5月10日号
良薬
ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑さんは免疫療法という画期的ながん治療を発明しました。本庶さんの研究をもとに開発された、がん治療薬オプジーボは、異物を攻撃する免疫の仕組みを利用し、免疫ががんを攻撃し続けるようにする薬です。化学療法、手術、放射線治療に免疫療法が加わったのです。本庶さんは「免疫療法によって生き延びられたというがん患者に出会うと報われたと感じます」「この治療法が広まり、地球上の全ての人が、恩恵を受けられることを願っています」と語っています。
如来寿量品に良医の譬えがあります。医者が外出している時、医者の子どもたちは毒を飲み、苦しんでいます。留め置いた良薬を飲み、子どもの病気は治ったという譬えです。良医はお釈迦さま、子どもたちは凡夫、良薬はお題目。毒はむさぼり、怒り、愚かさのことです。お互い拝みあい、安穏な社会づくり人づくりに努めましょう。
(神奈川県1部布教師会長・鈴木浄元)
2019年5月1日号
諸天撃天鼓
古い話で恐縮です。今年も東京北部管区恒例の寒行がありました。私も天台笠をかぶり、居士衣姿に身を包み冬の街を行脚し、お題目「南無妙法蓮華経」を唱えました。この寒行は僧侶にとってとても大事な修行であると思っています。
長く歩いて疲労して立ち止まりたくなったときに、見知らぬ人から掛けられる「ご苦労さん」のひと言。それによって元気をいただいた自分がいました。宗旨を超え参加を希望する他宗の僧侶からの声も聞こえました。「寒修行 門付を待つ子どもの 手のぬくもりの 暖かさなり」。手に握りしめた小銭の温かさから、浄財の意味を改めて教えてもらいました。お題目を意識したことなどほとんどないように見受けられる人たちが、気がつくとこちらに向かって合掌をしていました。
今年も天台笠を通して、不可思議な世界が見えてきました。毎年いい修行をさせてもらっています。
(東京北部布教師会長・土田恵敬)