鬼面仏心

2019年4月20日号

◆効率至上主義

我々は分単位、秒単位で動かされている。たとえば最寄り駅で1つ電車に乗り遅れると、次に乗り換える新幹線まで変更しなくてはならない。ホームへの階段をもう10秒も早く駆け下りることができたら1時間近いロスはなかったろうに、そんな思いに駆られることもある▲ロスタイム、即ち無駄な時間ということだ。無駄をなくす、効率を考えるということは、単に経済的費用対効果だけではなく、現代社会では生活のすべての場で求められている。たしかに注文した料理がすぐ出てくるのは気持ちがいい。しかし待たされたといって接客係にくってかかる、時には傷つけるなどの事件がマスコミに取り上げられる事態は見過ごせない▲はたして速さということはそんなに大切なことなのだろうか。永遠の生命を持ち私たちを見守る久遠の仏からみれば、10年も100年も大差はない。仏は、たとえ誰であろうとも全て仏の子であり、無駄な存在不要な存在はない。今生でダメなら来世。いつかは必ず仏となる存在だと説かれる▲その仏の子たる我々だ。仏と同様、永遠の時を過ごすつもりで、仏への成長過程を楽しみ日々を過ごすよう心がけてはどうか▲時代は平成から令和へと移り変わる。電車に乗り遅れないようギスギス生きるのではなく、和を以て席を譲り合える心を持つことのできる時代にしていきたいものだ。 (直)

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2019年4月10日号

知ったからには…

先月手にした本に、「棄民」という字を目にして胸を刺されたような驚きを覚えた▼あの事故から今年でもう8年目だなと思い、書棚から取り出した『ルポ母子避難―消されゆく原発事故被害者―』(吉田千亜著)にある言葉だ。大辞泉によると戦争や災害などで困窮している人びとを、国家が見捨てることとある。自主避難者については知ってはいたが、その苦労までは十分に知りえなかった。転居先を転々とし、ようやく落ち着いていた住まいも退去を余儀なくされた家庭。誹謗中傷されうつ病の発症、家族離散、離婚など、知らされなければ知りえないことが幾例も紹介されていた。同じ境遇の人が知り合い、出た言葉が「棄てられた」だった▼鷲田清一元大阪大学長はボランティア活動に学生を連れて現地に入り、言葉は掛けずとも、テーブルが汚れていたら拭く、周りを綺麗にするということをさせた。「そばにいるんだ」「見ていてくれたのだ」。それが心を繋いだ。押しつけでない援助。邪魔ではないがそこに居てくれる宮沢賢治のデクノボー精神だ▼あらゆる人に接するときの気持ちのありようとして、互いに認め合いその苦労の悲しさを分かちあう共感と共苦▼知ったからには言わねばならない、行動しなければならない。そして伝え続けねばならない、とは宗祖の教えである。折に触れ、事に付け1つひとつ丁寧に拾い上げ忘れないでいたい。(汲)

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2019年4月1日号

◆本当の始まり

平成の元号が終わり、5月から新元号のスタートとなるが、こういった節目には、心機一転が図れたり、自分を含め何かをふり返る機会にもなることを考えれば、節目の必要性やありがたさを感じる。宗門では、今日から宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」の最終期となる第4期「結実活動」が始まった▼安穏な社会づくり、人づくりを目指すというのが宗門運動の目的だが、それにはキーワードがある。それは、「育成活動」期の24年度に始まった「合掌」だ。当初は、形としての合掌への意識付けがなされ、続いて降誕八百年のポスターに書かれたように「合掌の心を世界へ、未来へ」という、その本当の精神である「合掌礼」の意味をきちんと自分のものにする方向へシフトしたように感じる▼今年度からの「結実活動」ではさらに一歩進めて、「合掌礼」の心を基に「今できること」「今しかできないこと」を望む。合掌(但行礼拝)をすればそれで良いのではなく、その心で家族、周囲の人、世の中へ貢献することを求める。そのためにまず勉強することもそうだ。ほか、単純に「怒らない」もそうだし、「多様性を受け入れる」こともその1つだ。これこそ、真の法華信仰者だ。宗門運動の本当の始まりは結実活動かもしれない。合掌やその心の数だけ利他を行い、お題目と結縁し、立正安国を目指そう。(緑)

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