ひとくち説法
2019年4月20日号
娑婆に咲く花
私たちは生きていく上で、多くの人とかかわり、仕事をしながら日々の糧を得て暮らしています。ときには意見が合わない人とも付き合わなければならないし、不本意な役割を負うともあるかもしれません。お金をたくさん稼いで贅沢な暮らしをしたいとか、地位や名声が欲しいと思うこともあるでしょう。そんなストレスや欲望に満ちたドロドロとした世界=娑婆に生きているのが私たちです。
しかし、泥に染まることなく、いつかは花開くようにと、仏さまは種を残してくださいました。その種を私たちの心の中に蒔き、大事に育て、花開かせることがお題目の修行です。
お互いの仏の種に水をやるような気持ちで、敬い合い、合掌してお題目をお唱えてください。生きとし生けるものすべてが、ともに力を合わせ、この娑婆世界に蓮華の花を咲かせ実を結ぶようにと、仏さまの世界を築いていきましょう。
(東京都南部布教師会長・吉田尚英)
2019年4月10日号
見方によって
私はずいぶん前から「痛風」という病気になっております。他人からは「贅沢病だよ」と言われ、同情されない病気の1つです。痛風にはいくつかの原因がありますが、その1つにはプリン体の取りすぎがあげられます。プリン体を多く含む商品にはビール・カツオなどがあげられます。しかしこのプリン体は一見悪役のようですが実は身体の元気の元とも言われます。
一面は悪、一面は善、見方によって違うということはよくあります。お釈迦さまは「蛇が水を飲めば毒になり、牛が水を飲めば乳になる」、日蓮聖人は「餓鬼は恒河を火と見る。人は水と見る。天人は甘露と見る」とおっしゃられました。
法華経・お題目の1文字1文字も単なる文字と見るか、1文字1文字を仏さまと見られるかには大きな違いがあります。私たちはお題目の7字を仏さまだと思い、お唱えすることが大事なのではないでしょうか。
(東京西部布教師会長・吉田教理)
2019年4月1日号
信じる
自身の難病を公表する人が増えてきました。たとえばオリンピック競泳金メダル候補の池江璃花子さんもその1人です。白血病です。不安の中、公表した勇気に敬意を表します。治療開始直後のブログに「思っていたより数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」と。また「東京オリンピックまで499日。1日遅れちゃった。まだまだ諦めないぞ!」っと。五輪出場を目指していることを誓いつつ、東日本大震災の犠牲者に「違う形ではあるけれど私は全力で生きます」と書き込んでいます。難病と戦いながらも、豊かなこころで被災された人たちにまで優しい思いを寄せて、自分の可能性を信じています。日蓮聖人は『法華題目鈔』に「妙とは蘇生の義なり。蘇生と申すはよみがへる義なり」そして、「妙」とは「仏の教えの扉を開きその中に入ること」だと、また、「それ仏道に入る根本は信をもて本とす」と信じる心がすべての根源だと教えて下さっています。
(東京都東部布教師会長・小山内功静)