オピニオン

2019年4月10日

知ったからには…

先月手にした本に、「棄民」という字を目にして胸を刺されたような驚きを覚えた▼あの事故から今年でもう8年目だなと思い、書棚から取り出した『ルポ母子避難―消されゆく原発事故被害者―』(吉田千亜著)にある言葉だ。大辞泉によると戦争や災害などで困窮している人びとを、国家が見捨てることとある。自主避難者については知ってはいたが、その苦労までは十分に知りえなかった。転居先を転々とし、ようやく落ち着いていた住まいも退去を余儀なくされた家庭。誹謗中傷されうつ病の発症、家族離散、離婚など、知らされなければ知りえないことが幾例も紹介されていた。同じ境遇の人が知り合い、出た言葉が「棄てられた」だった▼鷲田清一元大阪大学長はボランティア活動に学生を連れて現地に入り、言葉は掛けずとも、テーブルが汚れていたら拭く、周りを綺麗にするということをさせた。「そばにいるんだ」「見ていてくれたのだ」。それが心を繋いだ。押しつけでない援助。邪魔ではないがそこに居てくれる宮沢賢治のデクノボー精神だ▼あらゆる人に接するときの気持ちのありようとして、互いに認め合いその苦労の悲しさを分かちあう共感と共苦▼知ったからには言わねばならない、行動しなければならない。そして伝え続けねばならない、とは宗祖の教えである。折に触れ、事に付け1つひとつ丁寧に拾い上げ忘れないでいたい。(汲)

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