鬼面仏心

2019年3月20日号

ドキドキ

間もなく元号が変わる。期待と不安が交差し、ドキドキする。西暦の方が便利なのではという声もあるようだが、明治には明治の、大正・昭和、そして平成という元号には、それぞれの元号にふさわしい時代の匂いのようなものを感じるのは、私だけではないのでは▼「名は体を表す」というが、日本人にとって「名」は単なる呼称や記号ではない。「名」がそのもの自体を表すのだ。だから元号も単なる数字や記号ではなく、日本人の希望や願いや祈りのこもったものといえる▼「日蓮」と言う名は、聖人が初めてお題目を唱えた建長5年4月28日の「立教開宗」の日に、ご自分で付けた名前だ。日は父母から頂いた善日麿の日を、蓮は師の道善房に頂いた是生房蓮長の蓮を。さらにあらゆる生命を育む太陽の日と泥から生まれて泥に染まらぬ蓮華の蓮。そして日本国の日と妙法蓮華経の蓮。つまり『法華経』の「如日月光明」の日と「如蓮華在水」の蓮が、聖人のお名前なのだ▼それは「太陽のように、蓮華のように生きる」という、聖人の願いと覚悟のこもったもの。「日蓮宗徒」とは、こうした聖人の生き方と信仰を受け継いで生きるという、私たち自身の生き方を表す▼たかが名前。しかしその名前にその人の生き方が現れる。たかが元号。しかしその元号がその時代を作るのだと思うと、ドキドキせずにはいられない(義)

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2019年3月10日号

タイマーが…

「ピピピピピ…」どこで鳴ってるのかしら? 音を頼りに友人が見つけたのは、棚の上に置かれたタイマーだった。この日、友人の子は親元を離れて修養道場に出かけていた。目指す七面山は小学2年生にとって決して楽な道のりではない。どうしてるかな? きっと友人はソワソワと心配していたことだろう▼タイマーが鳴ったのは、まさにそんな時。子どもを見送ってから小一時間が経った頃のことだそうだ。見つけたタイマーにはペタペタと付箋が貼りつけてあり、「いまなにしてるかなってかんがえててね」「しんぱいしないで」とメッセージが書かれていたという。そんな可愛らしいドッキリに母親の不安は吹き飛んだに違いない▼「旅に出る人」と「見送る人」は、たとえ距離は離れても、お互いを思いやる気持ちが重なってその心は1つになれる。一方通行だと思っていた気持ちが、相手から返ってきた時の喜びは計り知れない。霊山へ旅立った故人もきっと同じことだろう。「お祖師さまには会えましたか?」「ありがとう! お目にかかれましたよ♪」見えない相手の心に寄り添い、お互いを思いやる心が出会ったその場所にこそ仏さまはいらっしゃる。そしてその喜びはあらゆる人びとの心を温めてくれるはずだ▼さあ、もうすぐお彼岸のタイマーが鳴りますよ! 皆さんのもとにも心を繋ぐメッセージが届くはずです。どうかお見逃しなく♪(蛙)

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2019年3月1日号

本家に還る

昭和15年、軍用道路を通すため、墓地を収用された我が寺は、それ以来墓地・納骨堂なしになった。やっと2年前、共同墓地内に永代納骨塔を建立することができた▼先日、20年前に亡くなった女性の納骨をした。彼女は1960年代の相次ぐ炭鉱の閉山でこの町にたどり着いた。必死で働いて信用を得た彼女は、晩年、家業で忙しい商店の子どもの子育てを任された。子どもから〝バァバ〟と呼ばれ、親代わりとして保護者会にも出ていたという▼天涯孤独の彼女が亡くなった時、育てられた子どもらが施主となり、葬式を出した。葬儀の後、子どもたちから「残務整理をして残ったお金をお寺に預けます。足りないでしょうが、バァバのお骨を納める所をぜひ作って下さい。バァバはここで眠りたいと遺言して逝きました」と申し入れがあったのだ▼その時、私は、盆踊りの炭坑節になると張り切った彼女の言葉を思い出した。「お寺の盆踊りの炭坑節は、月が出るのは三池炭鉱の上になっちょるけど違ごうとるとよ。三井炭鉱の上が本当たい。なんちゅうても炭坑節は、三池でのうて田川が本家たい。あちこち渡り歩いたけんど、この町がウチの故郷、この寺がウチの本家たい」▼仮安置所から20年、やっと納骨塔に納めた時「この日を信じてきてよかった」と呟いた子どもらの声を私は忘れないだろう。彼女は今、ここにいる。(雅)

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