オピニオン
2019年1月1日
「誰の迷惑もかけずに」(?)
表題のような物言いに接し、しばしばゲンナリする。「アナタ、誰の迷惑もかけずに生きてきたの?」とツッコミたい衝動を抑えて聞けば、そこには関わりを避けたい孤独の情景が広がる。
あるいは「世間さま」への痛ましい気遣いと低福祉社会の中で刷り込まれたものか。が、「迷惑をかけるヤツは許せない」に転じるとしたら、それこそ迷い・惑いの領域に突入してしまうのだ。
2年半前の相模原事件。「重複障害者は世の中に不要」と「抹殺」を実行した背景にある優生思想に、私たちは全く無関係、と言えるだろうか。
「いのちに合掌」に例外はあり得ないのだ。軽くない障害をもつ長男と公共交通を利用しながら、関わりと援助を通じて、世の中を是正し教育する役目を担っているのでは、と常に学ばされる。
生きるに値する命とそうでない命を選別する、衆生の闇は今なお蔓延する。私たちは世間に行じて、これを滅していかなければならないのだ。
(宮城県布教師会長・梅森寛誠)