2018年12月20日
久しぶりにラッシュ時の満員電車に乗った。
久しぶりにラッシュ時の満員電車に乗った。学生時代は当たり前だと思っていたが、老境に近づきしかも大きなバッグを抱えていては厳しい。手に持つバッグが意思に反して段々離れていきそうになる。体が手すりのポールに押しつけられ肺の空気が押し出されぎゅうっと声が出る▼何とかバッグだけでも網棚に乗せたいと、電車が揺れた時の少しのすき間を狙って持ち上げた。狙い通り目の高さまでうまくいった。と、その時予想外の揺れでバッグが隣の男性の頭を直撃した。男性が首をひねってこちらをにらむ。とにかく申し訳ないと謝ったところ、にっこり笑って「大丈夫、お互い様ですよ」。その一言のうれしかったこと▼この満員電車に何人の人が乗っているのだろうか。ふとそんなことを思い浮かべたとき、法華経は大乗の中の大乗だということを思いだした。すべての人々を余すことなく仏の世界へ運んで下さる大きな大きな乗り物だという。今までは乗れば楽々と運んでもらえると思っていたが案外満員電車のように厳しい乗り物なのかもしれない▼乗れば必ず誰もが目的地に行くことはできる。ただしゆったり快適にとは限らない。時に言い争いもある。でも肩寄せ合い、グチをこぼさず譲り合い励まし合って、皆が目的地=仏の世界を目指す。それが菩薩の修行であり、そんな社会こそがそのまま仏の世界なのではないだろうか。(直)