オピニオン
2018年12月20日
風の仕事
台風の後、境内は折れた杉の枝やらで無残な状態に。ため息をついて見回っていると「風は風の仕事をしているんだよねー」と4歳の孫。確かに自然は私たちの思い通りにはならない。ある時は恵みとなり、ある時は災害となる。1つの事象でも受ける側によっては良し悪しも分かれる。
良いお天気ですね、良いお湿りですねとなごやかに挨拶できたのは、過去のこと。気候和順にして万民業を楽しみというように神仏に守られながら自然に合わせて生活するのがうまい民族だった気がする私たちもまた、感謝と畏敬の念を持って神仏をお護りさせていただいてきた歴史がある。しかし今、文明の進化と経済至上主義の流れの中、人びとの心には信仰の芽を育む余地など見えない過酷な日常だ。
それでも私たち釈尊の教えに触れた者は、私たちのすべき仕事を進んでしなければならない。未来のために。
(福島県布教師会長・菅原海淳)