2018年6月20日
海外での暮らしが長い友人を交えて
海外での暮らしが長い友人を交えて、同窓会で一泊旅行に出掛けた。ホテルで彼と同室になったのだが、彼がトイレに行った後はいつもドアが開いているのである▼一般に日本では、トイレは不浄の場であり、使用中はもち論のこと、使っていないときも扉を閉めておくというのが習慣だ。ところが国によっては、開けておくことで使用していないことを示すという習慣があるという。そんな所で閉めたままにしておけば、いつまでたっても使えない。あるいは全員揃っているのにトイレにこもっている人がいる、泥棒だろうかと、気味悪い思いに駆られることになりかねない。一見すると奇妙な生活習慣も、それぞれの事情によって出来上がり伝えられてきたものであると理解できる▼ところがその習慣が、身の回りからどんどん失われているようだ。急須に茶葉を入れてお湯を注げば美味しいお茶が飲めるが、お茶はペットボトルで売っているものと思い込んでいる人もいると聞く。初ものの果物や珍しいお菓子などまず仏壇の仏様、ご先祖様にお供えしてからいただくという習慣も失われつつある▼この何気ない習慣を通して、仏に見守られているという思い、先祖を通して家族や周囲の人々と共に暮らしているという意識、他への思いやりの心が伝えられてきたのである。この心だけは
絶やすことなく、次の時代に伝えていかねばならない。(直)