2018年5月10日号
阿蘇で熊本地震第3回忌法要
熊本県宗務所(濵田義正所長)は、熊本地震第3回忌被災者慰霊・復興祈願祭を4月15日に南阿蘇村立長陽西部小学校跡地で営んだ。同跡地からは、大学生1人が犠牲となった阿蘇大橋の崩落を引き起こした土砂崩れの山肌が一望できる。参列した僧侶檀信徒約100人は、関連死を含めた震災犠牲者264人(うち日蓮宗徒の直接死3人、関連死2人)への追悼と、未だ仮設住宅での生活を強いられる約3万8千人の安寧のために祈りを捧げた。
式後、導師を務めた濵田所長は謝辞に立ち、「阪神淡路大震災や東日本大震災に比べれば、震災の規模は小さく、忘れられているかもしれない。だけれども、264人もの方が亡くなっており、まだまだ仮設住宅で苦労されてる方もたくさんいる。私たちが体験したあの震災を伝えていかなければならない」と力を込めた。
益城町道安寺檀徒の90歳代の女性は、遠く離れた場所の仮設住宅に1人で住んでいるが、高齢のため家を建てることは諦めているという。一度、震災が襲うと、築きあげた人びとの営みをいとも簡単に奪い去る現実。自らの痛みとして、受け止めることが仏教徒・日蓮宗徒のあるべき姿だ。