2017年11月20日
日本の文化を風鈴文化、西洋を扇風機文化
日本の文化を風鈴文化、西洋を扇風機文化と評した人がいた。暑さをしのぐのに西洋人は扇風機やエアコンで強制的に空気を冷却して送りだす方法を取る。これに対して日本人は気温ではなく、風鈴の音で涼しさを感じるという方法をとるという。この精神性・情緒性こそ日本文化の特徴だ▼「梅一輪 一輪ほどの 温かさ」「桐一葉 落ちて天下の 秋を知る」。日付や温度ではなく、一輪の梅、一葉の桐の葉に春や秋という季節を感じる。まさに日本人ならではの感性だ▼この日本人特有の情緒性が生んだ価値判断が「なんとなく」だ。「なんとなく」とは一種の雰囲気や空気のこと。科学的根拠も実体もない、とてもあいまいな心情だ。しかし日本人はこの「なんとなく」で、重要な物事を決定し、正邪善悪の判断さえしてきた▼仏教の受容は教義ではなく、黄金に輝く仏像に「なんとなく」力を感じたから。また末法思想の広がった鎌倉時代、人びとが西方浄土に救いを求めたのも「なんとなく」だ。それは智的に判断した教義的根拠によるものではない。そのことにノーといったのが日蓮聖人だ▼最近はIT化が進み、なんでも物事を数量や数値で判断する時代。「幸せという個人的・感覚的なことにまで平均値や数字を持ち込み、比較判断するのは愚かだ。智的でありながら情的な心を大切に生きる。そんな賢い生き方をしたい。(義)