オピニオン
2017年10月20日
家族に感謝
5月5日こどもの日の朝、母が永眠しました。93歳の長寿とはいえ、晩年の8年間は認知症との闘い。自宅で介護し看取ろうと決めたその日から、言葉では語り尽くせないほど苦労の連続。母もさぞ辛かったと思います。日ごと薄れていく記憶に負けまいと、起きてから休むまでのすべてを事細かくノートに記す毎日でしたが、最後は自分の旧姓と誕生日の記憶だけが残る状態でした。
葬儀の日の夜、私は家族の前で手を合わせ頭を下げ、今まで苦労を強いてきた詫びと感謝の気持ちを言葉にしました。
日蓮聖人のお手紙には「ご主人が身延まで来られて、母が亡くなった悲しみは深いけれど、臨終のありさまがよかったことと、妻が母によく尽くして看病をしてくれたことの嬉しさは、いつの世までも忘れることができない。と言って喜んでおられましたよ」と労いのお気持ちを綴られています。昔も今も変わらぬ家族への感謝。
(長野県布教師会長・大橋 一雄)