2017年10月10日号
金沢日蓮聖人銅像が100年
石川県金沢市内の卯辰山にある日蓮聖人像が建立から100年を迎え、金沢日蓮聖人銅像護持会(張田珠潮会長)は10月1日に記念法要を山内の善妙寺(代務住職=張田会長)銅像前で営んだ。前日の9月30日には、金沢万灯講による万灯練供養も行われ、加賀百万石の城下町に法華の音色とリズムが響いた。
金沢では50年前まで、万灯練供養が行われていたが、参加者の減少で中止されていた。今回の100周年に合わせ、万灯講の復活の機運が高まり、檀信徒や一般参加者が練習を重ね、昨年、半世紀ぶりに金沢の町に万灯のあかりをともした。正当の今年は参加者が昨年よりも増え、さらに神奈川県安立寺の万灯講中が行列に加わった約150人が国道や茶屋街を賑やかした。参加女性の1人は、「50年前に行われていた金沢の文化に参加できてうれしい。今後は私たちが守っていきたい」と声を弾ませた。また万灯講復活の中心となった諏訪木孝啓石川県第1部青年会長は、「もともと火消しの文化発祥は金沢といわれている。その金沢に万灯講がないのは寂しかった。法華の文化がこんなにも明るく前向きなことを金沢の人たちに教えたい」と思いを語った。
金沢市卯辰山の日蓮聖人像は日清・日露戦争の英霊を供養するために発願され、大正7年(1917)に完成した。青銅製で高さは5・3㍍。台座を含めると約13㍍になる。日本海を向き、金沢や海上の安全を見守ってきたが、化粧直しでの調査の際、銅像足元の風化により倒壊の可能性が指摘され、大改修が昨年行われた。また新しく灯篭が建立されるなど、環境整備と修復もなされた。銅像の修理を手がけた業者によると、「1千年は保てるような構造に改修できた」と胸を張る。
金沢日蓮聖人銅像建立100周年慶讃法要に先立ち、石川県第1部青年会を中心に藤井教祥全国日蓮宗青年会長をはじめとする全国からの青年僧約30人が金沢市内で行脚し、報恩と喜びのお題目を響かせた。
一龍斎貞鏡師が日蓮聖人ご一代記の一場面を講談した後、日蓮聖人降誕八百年を記念した管区大会も合わせて新井日湛千葉県大本山中山法華経寺貫首を導師に法要が営まれた。慶讃文では永田道生石川1部宗務所長が日蓮聖人の降誕、新井貫首が銅像100年に込められた檀信徒の法華信仰を讃えた。張田珠潮会長は、修復費用を寄進した檀信徒へ謝意を表し、「金沢に根付く法華信仰の象徴として50年、100年と未来まで銅像を引き継いでいきたい」と覚悟を述べた。
参列した檀信徒の1人は、「100年もの間、金沢を見守ってくれた銅像をさらに若い人、次の世代につなげたいと思い寄進させていただいた。日蓮宗と檀信徒一体となって今後も守っていきたい」と金沢法華信徒の誇りとなっていることを語った。