2017年10月1日号
第747回龍口法難会営む
神奈川県藤沢市本山龍口寺(本間日恩貫首)の第747回龍口法難会で、計約8千袋の牡丹餅が参拝客に撒かれる「牡丹餅供養」が9月12日に行われた。法要で日蓮聖人のご法難を偲びお題目を捧げた後、難除けのご利益があるといわれる供養にあやかろうと、堂内いっぱいの参拝客が、桟敷から撒かれる牡丹餅を両手を天井に向けて求めた。
牡丹餅供養は、文永8年(1271)に日蓮聖人が遭われた龍口法難に由来する。法華経による国づくりを幕府に訴えられた日蓮聖人は、逆に悪口の咎で捕らえられた。龍口の処刑場への途上、桟敷に乗った尼が日蓮聖人に黒胡麻の牡丹餅を供養したという言い伝えがある。この故事により古来、同寺の龍口法難会に合わせ、講中が集まり拵えた供養の牡丹餅を捧げてきた。今年は、「最初牡丹餅結社」(藤田和重講元)と「牡丹餅講橘結社」(近藤久満・軽部勝彦両講元)2講中が牡丹餅を奉納。藤田講元は、「みんなに少しでも幸せを持ち帰ってもらえれば」と目を細めた。
また龍口寺総代も務める近藤講元は、「もし日蓮聖人がここで首を斬られていたら、今の日蓮宗はなかった。それを忘れている人が多い。龍口寺と法難を知ってもらうために町と一緒にいろいろしていきたい」と述べ、「それと750年を迎えるあと3年は牡丹餅も一生懸命作り続けるよ。もう81歳だしね」と笑った。夜には24講中が万灯奉納を行い、町は熱気に溢れた。龍口法難750年は平成32年に迎える。