ひとくち説法
2017年9月20日号
笑顔
「笑う門には福来たる」と古来より伝えられておりますが、幸福だから笑顔が生まれるのではなく、笑いや笑顔が幸福を呼びよせるのでしょう。
NK細胞(ガン細胞を攻撃するリンパ球)が活性化して免疫力があがったり、「α波」という脳波がストレスを軽減したり、笑いや笑顔の効果は素晴らしいですね。作り笑いでもよいとのこと。
私たちが生まれて初めて笑った時、間近で見つめてくれた人が喜んでくれました。
今、私たちは大人になって、大切な人に笑顔を見せているでしょうか?
和顔施(笑顔の布施)の尊さはもちろんのことですが、「親に良い物を贈ろうと思いついても、何もできない時には、一日に二度三度、笑顔を見せてあげなさい」(『上野殿御消息』1124頁)。日蓮聖人が親孝行の第1歩を教えて下さっております。笑顔はめぐりめぐって大切な人と自分自身を豊かにするのですね。
(静岡東部布教師会長・植木和久)
2017年9月10日号
さいわいは心よりいでて
今日は「幸い」ということについて考えてみたいと思います。広辞苑によりますと運が良く、恵まれた状態にあること。しあわせ。好運。幸福とあります。好運(幸運)とは、例えば宝くじや懸賞に当選するというような、文字通り良い巡り合わせのことで、自らの力を及ぼすことが難しいと言ってよいでしょう。数多く購入したり、あるいは応募はがきをたくさん書いたからといってなかなかうまくいきません。また、好運に恵まれた人を見るとそれが他人のことでも何となく妬ましい気持ちになるのが人の常です。しかし、一方「幸福」という言葉には、私たちが努力することによって得られるという意味が込められていると思います。自然にまわって来るものではありません。
「さいわいは心よりいでて我をかざる」と日蓮聖人はおっしゃっています。日常生活の中で行いを正して、心が満たされるように努力し、充実した人生を送りましょう。
(山梨県第4部布教師会長・苅込義旺)
2017年9月1日号
お塔婆は故人への手紙?
毎年、ご両親のご命日近くに4姉妹4家族で、お参りに来られる東京のお檀家さんがいます。
当然、お塔婆を4基お建てになり、お線香を手向けます。ある時、私のご回向が終わると長女さんが「お塔婆は母への手紙なんですよね」と。
塔婆は古代インド語のストゥーパを音訳した、卒塔婆を略したもので、お釈迦さまのご遺骨(仏舎利)が納められた塔は、日本に伝わり五重塔にまで発展しました。その想いは故人への追善供養のために、細長い板の上部に4つのきざみを入れ五重に型どり、板塔婆になりました。
日蓮聖人も「過去の父母も彼の卒塔婆の功徳によりて天の日月が如く浄土を照らし…」と塔婆供養の功徳をお説きになられ、塔婆を建て合掌礼拝された方にも功徳が得られるとのご教示です。
お塔婆を建てた方の功徳も故人に廻り、ご成仏の道を歩まれるのですから、心のこもった何よりも尊い「お手紙」に間違いないのでしょう。
(山梨県3部布教師会長・柏原啓修)