2017年8月1日
お盆の季節がやってきた。7月盆は雨に降られ、
お盆の季節がやってきた。7月盆は雨に降られ、8月盆は暑さと戦いながらの棚経になる。昨今の異常とも言える猛暑の中、僧侶各位にはくれぐれもご自愛いただき、檀信徒のご先祖供養をお勤めいただきたい▼棚経といえば恥ずかしい思い出がある。大学生になるまで自我偈すら読めなかった小生は、池上学寮で読経をたたき込まれた。そのかいあって初めてお盆の棚経に回ることになった。自転車で市内を走り回るのも苦痛だったが、最も神経を使ったのが回向文だった。学寮では棚経の回向まで教えてくれていなかったからだ▼師僧が簡単な回向文を書いてくれ、それを経本の最後に挟み込んで出かけたのだが、あるお宅で、汗を流しながら読経する小生を見かねたお年寄りが、扇風機をすぐ近くまで持ってきてくれた。さわやかな涼風に一息となったまでは良かったのだが、挟み込んでおいた回向文が見事に吹き飛ばされてしまったのだ。木鉦をたたいていたから立ち上がることもできず、回向文を唱える時が来てしまった。どのように対応したのか覚えていないのは、恥ずかしくて記憶から消してしまったからかもしれない。50年前の夏の出来事だ▼近くの寺の住職は、自我偈を読むときでも経本を開いている。彼も、若いときの失敗から学んだのだそうだ。経典を諳んじて唱える僧侶と、一文一句を確認しながら読む僧侶、どちらがありがたく見えるだろうか、などと考えながら、今年もお盆を迎えた。(寮)