オピニオン
2017年6月20日
知恩
年回忌のご法事の時、私はいつもお檀家さまに次のようにお願いします。
このあとお題目を唱えます。唱えながら母親(父親)のお顔を想い出していただきたい。「あの時は悲しい想いをさせてしまった」「あの時はひどい態度をとってしまった」「あの時もう少しやさしくすればよかった」「あの時は辛かったろうなー」など母親(父親)が悲しい顔をした時のことを想い出していただきたい。「喜ばせたこともたくさんあったでしょう! それは家に帰って想い出していただいて、この本堂に上がった時だけは親の悲しい顔を想い出してお題目をお唱えいただきたい」と申します。
目がしらを押さえる方も多々あります。この時良いご法事になったと思うのです。年回忌のご法事は「知恩・報恩」の時です。「感恩の心」が入らなければ良いご法事にはならないと常々思っています。
(千葉県北部布教師会長・齊藤自乗)