2017年6月16日
東京北・東京都四部布教講習会開催
【東京北】平成29年6月16日、東京都四部宗務所主催による、平成29年度東京都四部布教講習会が東京都北部宗務所年番として、日暮里ホテルラングウッドを会場に開催された。今回は『江戸の文化に学ぶ』をテーマとし、近年、江戸の文化が世界と比しても著しい発展を遂げていたことが注目され、江戸期の歴史に学び現代に活かすコンセプトのもと、江戸の歴史と文学研究の第一人者である講師の先生に御教示戴き、東京の原点を踏まえて未来を模索する一助となれば、という願いを込めて企画されました。
午前の第一回講演では、身延山大学仏教学部長である望月真澄先生を講師に『江戸の法華信仰と法華文化』を議題として、江戸に法華信仰が浸透した形態から、浮世絵・落語・浄瑠璃などの作品から町人文化としての発展、江戸町衆の気質や信仰としての特徴など、如何にして江戸に法華信仰が弘まったかを御教示戴いた。
午後の第二回講演では、様々なメディアで活躍中である、国文学研究資料館長にして日本文学研究者である、ロバート・キャンベル先生を講師に『明治文豪が描く「上野の山」』を議題として、東京で最初に出来た、上野戦争の地である上野公園が、歴史的な重み・厚みを感じさせる場所であることを紹介頂き、街によって場所によってそれぞれの文化的な役割があったと御教示戴いた。
続いて、望月真澄先生とロバート・キャンベル先生の対談形式で「江戸の法華信仰について」講演を行い、ロバート・キャンベル先生は、身延山へ毎年数回参拝するなど本宗への造詣が大変深く、「信仰的側面では人々は、心の拠り所として年中行事で集まり、心の癒しを求め祈りや感謝を現した。また縁日や御開帳の年間スケジュールが当時の出版物から判り、花見や芝居を楽しむという精神生活の中心に信仰があったと、現在も私の職業として継続して学ぶことが出来ている」と仰った。日蓮宗と江戸の関わりについては、晩年の葛飾北斎を例に挙げ日蓮聖人祖師像の力強い印象を語られ、また「北斎の美術には妙見信仰より星が沢山描かれていて、宗教と思想が密接に関わり祈りと信仰が作品によって弘められていた」とお話くださった。
講演の締めくくりとして望月真澄先生からは、「浮世絵を見ても法華信仰には大変力強さを感じ取れる。芸術作品から見て取れる江戸当時の法華信仰の賑やかな姿を参考にして頂いて、これからの布教活動とお寺の在り方についてはコミュニティセンターとして、お寺離れ・お墓離れの世の中においては、我々お寺だけでの努力だけでなく、檀信徒と僧俗一体となって盛り上げて頂きたい」と力強く御教示戴いた。本講演での宗門教師の出席者は100名を超え、盛大にして大変意義深い講習会となった。