2017年5月10日
「小学生になったのか♪」 朝の通学路、
「小学生になったのか♪」 朝の通学路、久しぶりに〝バナナのおじちゃん〟に会った。娘のランドセル姿を見て喜んでくれた。幼稚園へ入るずっと前、近所の公園で顔見知りになったおじちゃん。ある日ベンチでバナナを分けてくれて、一緒に食べたことが名前の由来だ。すべり台が苦手だった娘は、おじちゃんの声援と拍手におだてられて何度も階段を上ったものだった。娘はうろ覚えのようだが、小さな心を育んでくれた大切な人だ▼「近頃じゃ、へたに声かけると通報されちゃうからな」そんな言葉を聞いた昨今、知らない人どころか、知人にさえ心を許すことが躊躇われる事件があり、子どもを持つ親はもちろん、社会全体が不信感に満ちている。思いやりから出た言葉や行動でさえも、警戒されてしまう世知辛い世の中。 悲しい事件のせいで、せっかくの真心が猜疑心で覆い尽くされてしまうのは残念でならない▼子どもを守るためにはまず疑い、遮断して守りを固める…それも大事なことだ。だが何事も疑うだけでは前に進めない。こんな時だからこそ、子どもたちには人を信じることの素晴らしさをきちんと伝えたい。信じることで前に進めることもある。互いに信頼し、愛された記憶はやがて生きる力になる▼最後に…被害にあった小さな命に、そして加害者の心にも、私たちのお題目が届きますように。皆が一緒に仏になれますように。(蛙)