鬼面仏心

2017年4月20日号

「もう一部屋借りることにしたんだ」はるか昔

「もう一部屋借りることにしたんだ」はるか昔、大学院に通っていた頃のことだ。読書好きというより、学問的な興味から古今の文献を買い集めていた先輩がいた。木造の二階部屋に間借りしていたのだが、本の重みに耐えかねて、床がきしみだしたという。大家さんの嘆願により、本を二部屋に分けたというのだ▼後に名ある学者になったこの先輩には及ぶべきもないが、筆者も書籍の量だけでいえばかなり多い。書庫の床が抜けないかと心配する度に、整理=つまるところは処分すべきかと考えるが、容易に実行できないでいる。中には、その時の気分によってほとんど衝動的に買い求めた高価な本もある。しかし実情はといえば、ろくに読みもせずに、いわゆる「積ん読」状態の本が結構な空間を占領している▼ただあえて自慢するならば、多くの本は少なくとも目次だけは目を通しているということだ。全く分野の異なる事柄であっても、ああ、あの本を見ればひょっとして……などということが、雑文を書いたり人前でしゃべったりするものにとっては役立つことがある▼普段何の役にも立たず「積ん読」だけの本でも、こうなれば貴重な資料であり大切な宝だ▼宗教離れがいわれて久しいが、宗教そして信仰が何の役に立つのかという人に申し上げたい。日頃の信仰によって得られる功徳というものは、いざというときの宝なのですよ。 (直)

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2017年4月10日号

「北海道新幹線、開通一周年」

「北海道新幹線、開通一周年」の声がテレビから聞こえてきた。すぐに記憶の窓から顔を出したのが「新車の香り」だ。昨年の3月26日に開通して10日後に乗車する機会をえた。車両に乗り込むと直ぐに鼻を突いてきたのが「新車の香り」だった。新幹線も自動車と同じように新車の香りがするのに驚く。好きな匂いなので、車両の新しさと重なり、気分よく新函館まで旅行が出来た▼自動車の新車の香りは、内装材のプラスチックや接着剤に含まれている有機溶剤の臭いで、シンナーの臭いといってもいいものだ。健康にはあまりいいとはいえない。それが人によっては「いい匂い」と認識され、記憶に起こる▼香りと記憶の関係は「プルースト効果」と呼ばれ、本能的な行動や感情に、香りは直接作用し記憶が蘇ることが起こる。これは五感の中で臭覚だけが持つ特徴だという▼歌舞伎役者の坂東玉三郎さんが、ある雑誌の記者に「舞台ではどんなことに気を付けていますか」と聞かれて、「舞台から立ち去ったあと、何か漂うようなものが残るように心掛けています」と答えていた。その人の残心、残り香といってもいいだろう▼初めて身延山に参拝した、山の清々しい空気と祖師堂のツンとした匂いが忘れられない。自分だけの身延山のニオイだ。初めてお題目を唱えたのはいつだったろうか。心の新車の香りはまだしているだろうか。 (汲)

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2017年4月1日号

最近実施されたアンケート調査で、

最近実施されたアンケート調査で、小生が住む県民の貯蓄額が都民に次いで第2位だという結果が出たそうな。都との差僅かに50万円。第3位に100万円もの大差をつけているとも▼回答者が正直に答えたとすれば、順位はともかくとして誰もが1千万円以上の平均貯蓄を持っていることになる。平均ということはそれぞれがかなりの貯蓄を持っているか、あるいは最も気がかりな貧富の差がここまで拡大したかのどちらかだろう。当然、後者が正解だ▼世界にはとんでもない金持ちがいるらしい。NGOオックスファムが発表した最近のデータでは、世界のわずか62人の金持ちが持つ資産が、36億人の貧しい人たちの資産合計と同額という。その中には日本人の名もある。きっと東京や静岡にはそういう大金持ちが住んでいるに違いないと考え、平均以下でもいいんだと安心することにした▼宗祖の「蔵の財より身の財、身の財より心の財優れたり」というお言葉を色読しているはずの僧侶がこんなことで混乱してはいけないと反省もする▼が、長い間発展途上世界には、その日の食事や飲用水にも不自由している人たちで溢れている。幼い子どもが藻の生えた緑色の池の水を飲む姿も見ている。濾過されていない浅い井戸や川の水を飲むことなど日常茶飯事だ。このままでいいのか。「人に食を施さぬ者は短命の報を受く」これも宗祖のお言葉だ。  (寮)

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新年のご挨拶。

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