2017年4月20日
「もう一部屋借りることにしたんだ」はるか昔
「もう一部屋借りることにしたんだ」はるか昔、大学院に通っていた頃のことだ。読書好きというより、学問的な興味から古今の文献を買い集めていた先輩がいた。木造の二階部屋に間借りしていたのだが、本の重みに耐えかねて、床がきしみだしたという。大家さんの嘆願により、本を二部屋に分けたというのだ▼後に名ある学者になったこの先輩には及ぶべきもないが、筆者も書籍の量だけでいえばかなり多い。書庫の床が抜けないかと心配する度に、整理=つまるところは処分すべきかと考えるが、容易に実行できないでいる。中には、その時の気分によってほとんど衝動的に買い求めた高価な本もある。しかし実情はといえば、ろくに読みもせずに、いわゆる「積ん読」状態の本が結構な空間を占領している▼ただあえて自慢するならば、多くの本は少なくとも目次だけは目を通しているということだ。全く分野の異なる事柄であっても、ああ、あの本を見ればひょっとして……などということが、雑文を書いたり人前でしゃべったりするものにとっては役立つことがある▼普段何の役にも立たず「積ん読」だけの本でも、こうなれば貴重な資料であり大切な宝だ▼宗教離れがいわれて久しいが、宗教そして信仰が何の役に立つのかという人に申し上げたい。日頃の信仰によって得られる功徳というものは、いざというときの宝なのですよ。 (直)