オピニオン
2017年4月10日
五感で知る幸せ
東京医科歯科大学病院の玄関にピアノが置いてあります。そのそばに紀元前5世紀にギリシャに生まれたヒポクラテスの銅像があり「人命を断つべき毒物の投與は何人の望みによるも断じてこれをなさず」の宣誓文が記されています。この誓いはいのちと向き合う医師の倫理を示します。
法華経ではいのちの象徴として五感【視・聴・嗅・味・触】を大切にします。法師功徳品では六根【眼・耳・鼻・舌・身・意】を荘厳することで、すべてが清浄になると説きます。六根のどの1つが欠けても生活に支障をきたすといわれます。
宗祖は晩年9ヵ年間を身延山で修行され、「吹く風もゆるぐ木草も流れる水の音までも」と身延山を釈迦牟尼仏の聖地・霊鷲山に喩えて、自然の恵みのありがたさを示されました。身延山は枝垂れ桜の季節です。それを六根すべてで味わって下さい。その瞬間、みなさんの五感は自然のピアノが奏でる幸せと感謝を感じ取ることでしょう。
(東京都北部布教師会長・土田恵敬)