2017年1月1日
壁に打ち当たった経験はありませんか?
壁に打ち当たった経験はありませんか? 人間が力の限界を思い知らされた時「人生の壁」を感じるという。この壁をどう乗り越えればいいのだろうか▼台風の後、屋根に登った。ひょいと下を見て「ああ高い所に来てしまった」と思った瞬間から、足が固まり一歩も動けなくなった。無理に動いたら足を踏み外し、大怪我をしていただろう。仕方なく屋根に寝そべり空を見た。流れる雲を見ているうちに心が落ち着き、1時間後、地上に降り立った。▼国同士の関係も然りである。「12月8日は何の日ですか?」と問えば、優等生の仏教徒は「釈尊成道の日」と答えるだろう。ビートルズのジョン・レノンが殺された日だと答える世代もいる。戦争を知っている世代は、日本がハワイの真珠湾を攻撃して太平洋戦争が始まった日と答えるだろう。その真珠湾を日本の安倍総理大臣が年末に訪問した。去年の5月、米国のオバマ大統領が原子爆弾投下によって壊滅的打撃を受けた広島を訪問し献花した。思えばこの時までに70年以上の時の流れが必要であった▼太平洋戦争が始まった碑が釈尊成道の日、そして終戦が8月旧盆の15日である。この70年間、どこのお寺でも盆法要に戦没者の慰霊が営まれた。日米関係は、1つの壁を乗り越えたのかもしれない。いや壁などなかったのだ。なぜなら壁は人間が勝手につくりあげたものだったからである。(雅)