2016年10月28日
佐賀県社教会管区研修会
【佐賀】秋雨の肌寒い10月28日、佐賀県社教会(藤木辨昇会長)主催の管区研修会が、小城市の市民交流プラザ「ゆめぷらっと小城」において、佐賀県宗務所との共催にて開催された。
小雨の降る中、僧侶・檀信徒合わせて30名程の参加者が、佐賀新聞社専務取締役・編集主幹である富吉賢太郎氏を招いての、『私が出会った感心な人たち』という講演に耳を傾けた。
富吉氏は、かつて約10年間に亘り、佐賀新聞の1面コラム「有明抄(ありあけしょう)」を執筆されていた。
当然その反響も大きい中で、様々な人に出会い、さらに多くの事を学ばれたという話を、記事を読みながら参加者に向かって語り掛けていた。
その中でも特に、死刑囚であった歌人・島秋人(しまあきと)について、強く語られていた。
島が重犯罪を行い、死刑囚として獄中で過ごす中、小学生の時に図工の吉田先生からの一言の褒め言葉が、大人になった今でも思い出され、自分の支えとなったのだという。
そしてそこから、先生夫妻との交流が出来、歌人として改めて人生を生きることになったそうである。
吉田先生も、幼い頃の島に対して、何気ない気持ちで言葉を発したのであろう。
しかし、そのたった一言が、誰かの心の支えとなる、誰かの人生を左右してしまう可能性があるのだということを、富吉氏も、コラム執筆中の反響や出会いの中で、強く感じたそうである。
そして、そこからまた「学び」を得ることで、どんなに齢を取っていても、人間は成長していくことが出来るのだと伝えられた。
この事は、メディアで発信をしている側に限らず、私達だれにでも当てはまる事ではないだろうか。
特に、「いのち」や「想い」に対峙している僧侶にとっては、何気ない行動や発言が、実は誰かを救い、また誰かを傷つけてしまう可能性がある事を、改めて強く感じ、内省させる内容であった。
「いのち」を輝かせる、より良く生きることは、ほんの些細な事がきっかけになることもある。
今回の富吉氏の講演によって、私たちの周りの様々な縁が、それに対する言動が、そして何より『南無妙法蓮華経』のお題目が、より良い生き方に、感心な人となる為に、いつでも繋がっているのだと想像することが出来たのではないだろうか。