2016年10月10日
「私の言っている意味が分かりますか」。妻が
「私の言っている意味が分かりますか」。妻が電話の相手と何やら語気を強くしてやり取りをしていた。品物を製造元から送ってもらったが、宛先ではなく、送り主に配達されたのだという。配達の人は「変だな」と思ったが、コンピューターの指示通りにした結果であったらしい。機械を100%信用したために起こったちょっとした事件だった▼「べき思考」を御存知だろうか。「〇〇すべき」がまず優先される思考の癖の1つだ。「べき思考」に陥ると自分が最優先され、相手のことを考えられなくなってしまう。何事も行き過ぎは、折角の信頼関係も崩れてしまいかねない。そんな時には、「いま『べき思考』になったな」と思うことによって、気持ちが落ち着く▼社会心理学者の山岸俊男氏は「用心は必要だが、その人の性格、相手への感情などから裏切るまいと考えるのが信頼」だという。コラム子の田舎では、月命日のに留守であっても、勝手に家の中に入ってお勤めをしても構わない。それは先師からの信頼の積み重ねの結果であろう。その信頼も、たった1つの要因で簡単に崩れてしまうものでもあるので、心しなければならない▼目の前の1人ひとりにしっかりと向き合っていくことによって、信頼は深まっていくのだろう。それは常日頃の行い、態度で示していくことに尽きる。それこそが合掌の精神で可能にできる手立てだ。 (汲)