日蓮宗新聞
2016年7月10日号
第743回開闢会
山梨県総本山身延山久遠寺(内野日総法主)で6月12日、日蓮聖人のご入山を記念する開闢会のご入山行列とご草庵法要が営まれた。身延山の夏を迎える風物詩のご入山行列を一目見ようと大勢の参拝者が訪れ、ご草庵では報恩感謝のお題目を唱えた。
唱題行脚隊と奴行列を先頭にしたご入山行列では、華やかな時代衣装に身を包んだ往時の檀越、太田乗明公などに扮した町民、色とりどりの華葩を供養する僧侶ら約250人が、総門から三門までの約1・2㌔の門前町を彩った。駕籠にお乗りになられた内野法主猊下がお通りになると、参拝者は頭を垂れ合掌した。三門では内野法主猊下が、梅雨中の晴天に恵まれ当日を「参拝者のひたむきなお題目修行のおかげ」と話され、「ますますのお題目修行へのご精進を」とご勧奨された。
日蓮聖人ご在山中に結ばれたご草庵跡で、内野法主猊下を導師に法要が営まれた。井上瑞雄身延山久遠寺総務が、日蓮聖人が書かれた当時の身延山の様子を克明に伝える『身延山御書』を奉読し、また山梨県内船寺の檀信徒が和讃を奉納すると静かな御廟所聖域に響きわたった。
開闢会は今年で743回目。平成35年には、節目となる750年を迎える。
2016年7月1日号
雑司ヶ谷法明寺鬼子母神堂重要文化財に
東京都豊島区雑司ヶ谷法明寺(近江正典住職)の鬼子母神堂が、国の文化審議会の答申で、重要文化財に指定されることになり、5月25日、鬼子母神堂で地元関係者に向けた指定報告会が行われた。
今回重文指定を受けた子母神堂は鬼子母神像が祀られ、江戸時代から安産などの信仰で庶民の崇敬を集める。
区によると、鬼子母神堂は、本殿が相の間を介して拝殿が接続する「権現造」と呼ばれる複合建築で、本殿は寛文4年(1664)に広島藩主の浅野光晟の正室、自昌院の寄進
で建立された。拝殿は元禄13年(1700)建立で、装飾性が豊かで正面一間を吹き放しとするなど近世寺社建築らしい華やかな礼拝空間が創出されている。
答申では、建築年代が明らかなことや、江戸時代の大名家による社寺造営状況、拝殿組物を略式に改めるなど幕府による建築規制への対応過程をよく示している点が高く評価された。近江住職は「100年後も地域を代表する文化財として、お参りする皆さまの依拠としてあり続けたい」とコメントした。
また子母神堂を中心とした雑司ヶ谷の伝統的な文化・自然を継承したまちづくりが日本ユネスコ協会連盟の未来都市遺産にも登録されている。お会式も有名で、同寺に集まるお会式連合会の万灯練供養は平成27年に区の指定無形民俗文化財の指定を受けた。