2016年7月20日
3年前からの約束で、
3年前からの約束で、4月11日からの1週間、千葉県勝浦市本行寺の「五十座」の後座を勤めた。「五十座」とは、江戸時代、火災で焼失した池上本門寺再興のため、時の貫首さんが50日間上総で浄財勧募のお説教をしたことに始まり、以来466年目▼日蓮聖人生誕の地にほど近い上総。その誇りと信仰で結ばれた上総浜組23ヵ寺の7ヵ寺が毎年交代で会場となり、これを組寺とその檀信徒が支える。会場寺院は何年も前から建物の整備や諸準備を行い、団参の割り振りや諸役を組寺と協議。総代・世話人・婦人部・和讃講・踊り子さんなど檀家全員が、受付・食事の準備・接待・掃除・片づけなどそれぞれの仕事を担当。その心と力が1つになった時、「五十座」はまるで曼荼羅のような法悦の世界になる。強い信仰心で結ばれた寺院と檀信徒が466年の歳月をかけて育てた「五十座」ならではの伝統の素晴らしさだ▼宗門には「五十座」に限らず、信仰によって伝承された伝統行事や信行がある。この伝統こそ宗門のブランドだ。しかし最近は少子高齢化や過疎化のため、後継者不足や資金難で伝統の存続が危ぶまれているものも。形あるものの護持も大事だが、多くの人々が長い年月をかけ、信仰の力で育ててきた無形の伝統行事や信行を、宗門として顕彰し、宗門として支援することが大事なのでは。伝統は、一度途絶えたら再生は難しいのだ。(義)