2016年7月1日号
雑司ヶ谷法明寺鬼子母神堂重要文化財に
東京都豊島区雑司ヶ谷法明寺(近江正典住職)の鬼子母神堂が、国の文化審議会の答申で、重要文化財に指定されることになり、5月25日、鬼子母神堂で地元関係者に向けた指定報告会が行われた。
今回重文指定を受けた子母神堂は鬼子母神像が祀られ、江戸時代から安産などの信仰で庶民の崇敬を集める。
区によると、鬼子母神堂は、本殿が相の間を介して拝殿が接続する「権現造」と呼ばれる複合建築で、本殿は寛文4年(1664)に広島藩主の浅野光晟の正室、自昌院の寄進
で建立された。拝殿は元禄13年(1700)建立で、装飾性が豊かで正面一間を吹き放しとするなど近世寺社建築らしい華やかな礼拝空間が創出されている。
答申では、建築年代が明らかなことや、江戸時代の大名家による社寺造営状況、拝殿組物を略式に改めるなど幕府による建築規制への対応過程をよく示している点が高く評価された。近江住職は「100年後も地域を代表する文化財として、お参りする皆さまの依拠としてあり続けたい」とコメントした。
また子母神堂を中心とした雑司ヶ谷の伝統的な文化・自然を継承したまちづくりが日本ユネスコ協会連盟の未来都市遺産にも登録されている。お会式も有名で、同寺に集まるお会式連合会の万灯練供養は平成27年に区の指定無形民俗文化財の指定を受けた。